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実践の倫理
 
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実践の倫理 [単行本]

ピーター シンガー , Peter Singer , 山内 友三郎 , 塚崎 智
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,993 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

倫理や道徳を人種上の少数派の処遇、女性に対する平等、食糧や研究のための動物の使用、自然環境の保全などの実践問題に応用し、「公平主義」に基づいた理論を展開。原著第2版を翻訳した91年刊の新版。〈ソフトカバー〉

登録情報

  • 単行本: 456ページ
  • 出版社: 昭和堂; 新版 (1999/10)
  • ISBN-10: 4812299292
  • ISBN-13: 978-4812299296
  • 発売日: 1999/10
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
倫理・道徳とは行動の基準、指針を示すもの。倫理学は基準となる原理を巡る学問です。

シンガーの提案は「利益に対する平等な配慮」という原理。これを機軸にすえて安楽死・中絶・新生児の治療停止など生命倫理として扱われるトピックに対し回答を示していきます。

利益に対する平等な配慮とは「自分も含めてあらゆる存在の利益を等しい重みをもって扱え」というもの。私益を他者の利益に優先してはいけない、ということです。

このこと自体は特になんということもないのですが、個人的に面白いと思ったのは上の原理が「利益が存在しないならば、道徳的ジレンマも存在しない」ということを包含しているということ。たとえば、無脳症や脳死状態のように神経機能を永続的に欠いてしまっているのなら、生存はもはや何の利益にもなりえないのだからその状態にある者を死に至らしめるのは許容される、というより本質的には道徳的問題ではないということになります。その場合には、当人ではなくその周囲の人間の利益が斟酌されるべきということになる。最初は至極温情的に思われた平等な配慮の原理がにわかに冷酷無比(に見える)に様変わりします。

ひとつの原理から論理的に個々の問題に答えていくシンガーの議論の運び方はさながら堅牢な城壁を思わせます。生命倫理の議論では一般人・識者を問わず根拠の乏しい不安をあおるに過ぎないもの、「不自然だ」という愚にもつかない主張をするものが目立ちますので、本書のような議論を参考にして全うな議論を見極めるための視野を養っておくのもいいと思われます。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 学徒
形式:単行本
シンガーは動物の道徳的地位や障害をもつ嬰児の安楽死の問題、環境問題など幅広く発言をし、論争を巻き起こしてきた。

発言のカテゴリだけをみると一見まとまりのないように思えるが、シンガーは論理的に、導き出している。

内容A

ア)「私益に基づく行動は人間のとって自然である」という個人の行動モデルを受け入れる。

イ)倫理の普遍化可能性=倫理的判断をするには「私」の利益、「彼」の利益といった特定の立場を離れなくてはいけない。

ウ).ア+イより、「自らの行為によって影響される全てのものの利益を(利益として)考量し、関係者の利益が最大となるような行動を選択しなさい」という、社会の倫理的行動モデルとして功利主義を導く。

エ).さらに、「普遍化可能性から利益は利益として扱わなくてはいけない。私益を他人の利益よりも優先させたり、小さな利益を大きな利益よりも優先させることは許されない。」とし、利益配慮対象の普遍化、つまり功利主義的平等原則を導く。

ここまでの議論で、「苦痛を感じるのが人間であれ動物であれ、苦痛は等しく悪い。」という動物開放論の柱が出来上がる。また、利益を感じる能力のないものに利益配慮することは、功利主義的平等原則に反することになり、つまり感覚能力を有しないものは利益配慮対象にならない。

内容B

シンガーの主張はもう一つだけだ。それは「人格には特別な価値がある」というものだ。人間であるが故に特別な価値があるのではなく、理性的で自己意識を有する「人格(パーソン)」であるものが特別の価値を持っている、という(理由は字数の関係で割愛)。

これより、理性的はなく自己意識を有しない人間は、特別な価値(生存権)を有するものではなく、それは殺すことによって失われる利益が他のもので埋め合わせることが出来れば、殺すことは不正ではない、という。

以上が、本書におけるシンガーの論理の概略である。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By θ トップ1000レビュアー
形式:単行本
シンガーの論は、細かくはすでに他のレビュワーさんが書いてくれているので、結論だけ先取りすると、動物の権利の擁護と、嬰児や植物人間の殺害の容認である。
常識から考えればとんでもない論だが、それだけに考えてみるには値する。
思考訓練としてでも、十分な価値がある。

ただ、私自身はシンガーの論には同意しない。
それは、最初に行っている功利主義擁護論が誤っていると思うからである。

彼の功利主義擁護論は以下のような構造をしている(p12〜18)。

1 「倫理的判断は普遍的な見地からなされなければならない」
2 「1より、私の利益(快)は他者の利益(快)と等しい価値を持つ」
3 「2より、全体の利益を最大にするような選択を行うべき、つまり功利主義に至る」

しかし、2を導くためには以下の前提2'が必要になる。

2'「ある人の利益(快)と別の人の(快)とは、価値の比較や交換が可能である」

ところが、この2'のような「個別性を無視して個人を比較や交換を可能なように扱う」という姿勢自体が、極めて功利主義的なのである。つまり、2'を示さない限り、シンガーのやっていることは功利主義でもって功利主義を擁護しているだけである。

ということだが、一読の価値は十分にあるオススメの本である。
頭に刺激の欲しい人には是非。
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