この本の特徴は、和声の禁則の説明がないことです。ピアノによる和音を前提にしているからか、三和音に三度を重複させる禁則の説明さえもありません。50年前の本だけに譜例も多少の古めかしさがあります。
ルールや理論を暗記するための本ではなく、和声を実感によって身に付けさせるという意図で書かれていることが伝わってきます。ルールの多くは美しい和声進行が身に付いた後ではもはや不要なもの、作曲するに際に固定観念につながるようなもの。著者はそれを本書を通して伝えたいのかもしれません。和声を学んで曲を作れなくなってしまった方への癒しにもなるのではないでしょうか。
ただし、受験勉強用にはお奨めしません。旋律を聴いてその場で違和感のない美しい和声を付けれるようになる、これが本書の目指すところだと思います。古い本ですが、改訂版が出て内容も一部見直され読みやすくなっています。