四月一日に、浮気相手と車に乗っている夫を目撃した岡安素子。
怒りに駆られ、車を追いかけた素子は落雷の直撃を受けてしまう。
それ以降、素子は、何者かが見ている光景を、たびたび見ることに
なる。しかも、その人物は、殺人やストーカー行為をしているのだ。
一方、同年一月。推理作家の保科匡緒は、彼のファンが開いた、パソコン通信の
オフ会に参加した。その後、新作の着想を得た保科は、長編を書き上げたのだが、
覆面作家・女婦木ミラの新刊と内容がバッティングするという不運に見舞われ……。
本作で扱われる超能力はテレパシーの一種である〈パス〉。
他人の感覚を中継カメラのように使って、遠く離れた場所の風景を見たり聞いたりする
能力で、作中では、憑依する側を〈ソウル〉、憑依される側を〈ボディ〉と呼んでいます。
(また、ソウルとボディの間にパスが接続されるのは、ボディの精神的・身体的条件づけ
(デコーダー)が整った時のみ、という設定です)
ボディにストーキングされていたのがオフ会参加者であったため、残りの参加者の
なかにボディがいると考えられますが、その誰もが、最初に殺害された人間と何の
接点も持たないというところがミソです。
本作では、まったく無関係だったいくつかの事象が、超能力を媒介に結び付けられる
ことで、本来は起こるはずのなかった犯罪を誘発してしまうという構造になっています。
すべての元凶(?)たる、ボディの正体には、きっと驚かされると思います。