株式投資などに関心のある一般の読者を対象とした「行動ファイナンス」入門。第1章はそれなりにお堅い本に見えるが、第2章以降はスイスイ読める。ただ…、最後まで読んでわかったが、読み易いのは内容が薄いからだった…。
全8章構成。第1章をイントロダクションとし、第2章・第3章では、行動ファイナンスの中核をなすプロスペクト理論や人のもつ様々なヒューリスティック・バイアスについて簡単に解説している。ここまでを「基礎編」として、以降は、基礎編で登場した概念を用いて実際の金融市場や投資戦略を見定める「応用編」と位置づけられている。
リーマン・ショック直後に書かれた本で、サブプライム・ショック、リーマン・ショック等のバブル崩壊→金融危機を強く念頭に置いて書かれている。(実際には頻繁に起きている)バブル現象の発生を従来の伝統的な経済学・金融工学の理論では説明できない、とする第1章は、本書の導入部としては期待を高める良い出だしだったのだが…、読み進むにつれて落胆も大きくなっていった。
著者は行動経済学や行動ファイナンス関連の多くの著作や翻訳に関わってきた人のようだが、トヴァスキー・カーネマンの理論に関しては、かなりアヤフヤな印象(挙げる例が少しずつピント外れのような…)。第2章・第3章の内容については、心理学・認知科学系の本を読んだ方が良いだろうと思う。また、学問としての行動ファイナンスを学びたい読者にも不向き。
現実の金融の世界の実務畑を歩んできた著者だけに、中盤以降の内容に期待したのだが…、(おそらく「行動ファイナンス」抜きでも成り立つような)投資にまつわるエッセイのような内容でガックリ。「実戦」からも「実践」からも程遠い内容、と言わざるを得ない。まことに残念。