まず実践の前に、コンピテンシーが解決するビジネスニーズや、人事システム上のメリットなどがまとめられている。企業の活用例もあり、事例が少ない日本では得られない貴重な情報源となっている。
実践プロセスは、「コンピテンシーモデル・プロジェクトの基盤づくり」「モデルの開発」「その適合性の検証と改良(完成)」「人事システムへの導入」「組織のコミットメント獲得」の順に解説されている。それぞれ具体的なステップが提示されていて、モデル開発なら高業績者へのインタビューの形式や必要人員、質問の内容、注意点など、細部までわかるようになっている。質問例や各種分析フォーム、設計モデル例などは実に多彩で、自社流にアレンジすることも可能である。また、導入目的の明確化や社内の支援取りつけなど、導入の成否を分ける部分のノウハウも非常に充実している。
これらのプロセスは、コンピテンシーの理論や意義をまとめた解説書だけでは得られない、実務面での具体的なイメージをもたらしてくれる。また、コンピテンシーは内容も活用法も企業ごとに違い、事前に自社に役立つかどうかを見極めるのは難しいものだが、本書のプロセスを試行することで、その真価が見えてくるはずだ。コンサルタントの力を借りる前に読んでおきたい1冊である。(棚上 勉)
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