菊地英博氏の手による本書は、長年金融業界で働いてきた著者が、竹中平蔵氏によって、アメリカの指示のもと行われた、「不良債権処理・竹中プラン」の虚妄性、金融庁主導の日本の大手銀行の壊滅計画について詳細に説明し、彼なりの金融改革プランを提示している。菊地氏は、郵政民営化によって、地銀の業務が圧迫されて、事実上の民営化による民業圧迫になってしまう点、長期金利の上昇、それに合わせて、外資傘下に入った簡保が日本国債投資を大きく減らすことで、さらに国債価格が下落し、金融危機を生み出しかねないと予測する。
彼は「日本の銀行はオーバーバンキング」という市場原理主義者の無知に基づく誤解にという指摘は非常に新鮮だ。寡占化の進んだメガバンク3行体制は、金融危機の際にシステム危機を起こしかねない。後半は、小泉政権前に行われた、金融2法をめぐる舞台裏を詳細に書いている。銀行の保有株式買取機構の設立にアドバイスを行った著者は、「銀行本体の株式保有が、金融恐慌を悪化させた」という。これは卓見である。
世紀末から今世紀初頭にかけての日本の金融行政は構造改革ではなく、構造破壊であるという菊地氏の指摘を竹中氏を始めとする、日本の政策担当者は深く噛み締め、懺悔すべきであろう。