私は宝塚の観劇経験がないが、日比谷で宝塚ファンが出演者を取り巻く光景は何度か見ている。本書は宝塚ファンの内部動向を冷静に取材し、分析したものであるが、そこに綴られている宝塚ファンの社会の持つ特殊性は読むものを離さない。「へェ〜」の連発であった。自分が宝塚ファンの生態に賛同するか否かはともかく、現実に存在し、成立している宝塚ファンの組織と社会は、明文化された法律の無い宮廷を見るようでもある。王に対応したスターや生徒たちとの関係性と個別の宝塚ファンとの関係がチケットの分配と生徒との距離感によって微妙なバランスを支えているのは読んでいて本当に興味深い。ちょっとだけ惜しいのは、各ファンクラブの費用維持が会員に対してどのような形で負担がなされ、どの程度の負担なのかについての詳細な記載がなかった点だが、それがなくても本書は一読するに値する。