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定本 言語にとって美とはなにか〈1〉 (角川ソフィア文庫)
 
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定本 言語にとって美とはなにか〈1〉 (角川ソフィア文庫) [文庫]

吉本 隆明
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

メタローグ

吉本隆明(1924―)のこの本を敢えて取り上げるのは、我々の世紀に途方もない企てを敢行した思想家がいたことを伝えておきたいからである。政治か、文学かといったプロレタリア文学理論の批判的検討の末、文学は言語でつくった芸術だというただ一つの地点から出発して、あらゆる文学理論を「疑問符のなかにたたきこむ」意図で書かれた本書はむろん難解であり、自己表出と指示表出という用語の理解にも覚悟がいる。しかし、文学をロマン的な憧憬か、政治の道具かのいずれかでしか捕らえようとしない風潮がある限り、幾度でも立ち返るべき歴史的書物である。(宮川匡司)
『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

出版社/著者からの内容紹介

吉本隆明思想の根幹を読む!

記紀万葉から、鴎外、漱石、石川淳、島尾敏雄等の小説作品の他、詩歌、戯曲、俗謡など膨大な作品を引用しながら詳細に解説。文学を形づくっている「言語」の特質を追求する。文学・言語・藝術を考える上で必須の1冊


登録情報

  • 文庫: 398ページ
  • 出版社: 角川書店 (2001/09)
  • ISBN-10: 4041501067
  • ISBN-13: 978-4041501061
  • 発売日: 2001/09
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 86,458位 (本のベストセラーを見る)
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By 古本屋A トップ1000レビュアー
形式:文庫
シンプルだがユニークで説得力のある冒頭の理論編、これを応用した日本近代文学史、構成論における「展開」「形式」など、何処を取っても面白い議論で溢れている。世界にも類が無い独創的な文学理論。しかし、文学体と話体の概念の登場は、やや唐突で、やや不親切な趣がある。理解できないわけではないが、指示表出、自己表出などのそれまでの理論の延長線として自ずと理解できるようになっているとは思えない。論文ではないからとはいえ、やはり少しくどくてもきちんと説明をしてから、応用編に進むべきだった。三浦つとむ「日本語はどういう言語か」を読んでから読むと分かりやすい。三浦の圧倒的な影響下にあったことが分かる。また、この理論は使える理論であって、批評のツールとしてもっと利用されてもよいと思う。だが、この理論だけでは、やはり「小説」には迫れない部分が残ると思う。だが、諸概念の展開という本論とは別に、「近代文学史」の諸作家の評価や「構成論」で展開される「近松」論は、それだけで魅力的な読み物で、改めて、それら著作に読者を向かわせるだけのおもしろさがある。多面的な面白さを持った「詩学」としても異例だと思う。
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23 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 学生時代に熊野の本宮から小雲取、大雲取を越えて那智へ抜ける道、つまり中辺路を初めて歩いた時のことです。鬱蒼と続く杉林をひたすら歩いて峠を越えると、いきなり眼前に真っ青な太平洋が広がっていました。それを見た僕はもの凄い開放感と感動をおぼえ、思わず唸り声を上げたのです。その時、僕は熊野信仰の原点を体感したような気がしました。
 『言語にとって美とはなにか』の中で吉本隆明氏は、初源の言葉というのは神と交流するための言魂的な呪言であった書いています。そして、「原始人が奥深い山の中を彷徨い続けたあげくに海にたどり着いた時に、感動のあまり発した「うっ!」という唸り声が「海」という語の語源であった可能性を捨てさることはできない」と書いています。
 勿論、吉本氏は言語を構造や記号として捉えることを否定しているわけではありませんが、同時にそれだけでは言語の本質には届かないとも考えています。この「うっ!」=「海の語源」という話は、言語を構造や記号としてのみとらえようとすることに対する警鐘として捉えるべきなのでしょう。
 何故か僕の中では、大雲取越えの際に山の上から熊野灘を見たときに受けた感慨と上述の吉本氏の言葉がふと重なってくるのです。
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 随分前にノートをとりながら読みました。読後感としてはあと一歩で「古典」になるのに、という感じです。
 この本の画期的特徴は言語を自己表出と指示表出というエネルギー体にまで完全に分解したことにあると思います。この時このエネルギーは生きた人間から発せられる。この辺りがアカデミックな言語学者との違いだと思います、
 ソシュールの優れた見解には言語を放つ主体という問題はでてきません。たとえば、その人の心は辛いのに、口では「僕は楽しいんだよ」というのは割合良くあることでしょう。でもそんなことを気にしていたら言語学なんてできないので、ソシュールは「俺はそんなの知らん!パロールは切り捨てる!」と言ったんだと思います。(適当ですいません。)
 だけど吉本さんはそこを逆に考えてむしろ個人のエネルギー、言葉を発する主体が言語の源だと考えたと思います。そこには当然文学という問題が控えていた。ですがここでひとつの問題がおこって、つまりあるエネルギーを言語で発するのに「何故その言語でなければいけないのか?」という問題が起こったと思います。つまりあるひとつの表出があるとしてそれに対応する言語は何故その形式でなければならないのか?ということです。僕の読んだ感じでは吉本さんはそれにはっきりと答えていない、と思います。ソシュールにも似たような問題は訪れて、ソシュールははっきりと答えています。「俺には言語の意味が記号と結びつく必然性は全然わからん。それは恣意的である」と。
 この辺りがあやふやなのが吉本さんの弱点ではないでしょうか。
 この辺りを微妙にクリアした(クリアしようとした)のが折口信夫ではないかと思います。折口は文法の形式論と、文法に内在するそれを発する人達の心象とを微妙に組み合わせて独自の文法論を作り上げた、と思います。そしてそれはーー吉本さんもそうだけどーーやはり日本的なもの、日本語に内在する可能性と不可能性ーーが影響していると思います。
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