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一方で、この両者はあまりにも強力であるから、真正面から断罪することも困難である。これらを凌駕する政治経済原理を構想することができないのである。
しかし、驚くべきことであるが、この本にはその構想が述べられているのだ。
資本主義経済がガンであることは、その原動力が、形而上的欲動であると突き詰めることにより明かにされている。(第二部第2章の3,4)また何故エンドレスに生き延びるのかということも、理論的に解明されている。(同第3章)しかし、この本の真の力は、「価値形態論」により導き出された、貨幣による交換が生み出す非対称な関係に、これらすべてが基いているという洞察を瞬時も手放さない点にあるのだ。この関係は自己増殖する資本の運動を可能にすると同時に、「対抗ガン」の可能性も同等に保証しているのである。
さらに、この本の傑出したところをもう一点述べる。それは、国民国家の原理が、すなわちその力の源泉が、収奪と再配分という交換原理からとらえられている点だ。資本主義経済と同様、強力ではあるが、寄生的であることは明瞭なのだ。現代の危機は、これら2つの原理が補足的に、増幅しながら作用する点にあるのだが、インターナショナルではなく、カントの自由の原理に基くトランスナショナルな対抗運動のみが、上記の「対抗ガン」と融合することによって、この複合体を解体し新たな交換原理(アソシエーション)に組替えていくことができる、とこの本は理論的に示し得ている。
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