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20 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
出版業者がナショナリズムを生んだ,
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レビュー対象商品: 定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険2期4) (単行本)
本書によれば、国民・民族(ネーション)はイメージとして心の中に描かれる「想像の共同体」だ。それは、同じ共同体に属するが、一度も会ったことがない人々と自分との関係を、血縁関係や主従関係などの具体的な人と人とのつながりの網の目として想像する、前近代の共同体や王国と違い、マスメディアを媒介にして、自分と明確な境界を持つネーション全体とが、無媒介に結びつくものとして想像される。そして著者は、出版業者がこのネーションを生んだという。標準化された言語による出版物がコミュニケーションの場を提供し、その言葉を使う数十・数百万の限定された人々がそこに所属するという共通認識が生まれる。つまり「日本人」が使う言葉を標準化して日本語を作ったのではなく、出版用に標準化された日本語を使うことによって「日本人」が生まれるというわけだ。 人間の宿命である言語的多様性と、資本主義と印刷技術の結合(出版資本主義)が「想像の共同体」としてのネーションを生み出し、たとえ現実には不平等があるとしても、ネーションは水平的な深い同胞愛をともなう共同体として、人々の心に思い描かれる。そう、この共同体への愛着こそがナショナリズムと呼ばれるものだ。その結果、過去2世紀にわたって、数えきれない人々が、この想像の共同体への同胞愛のために殺しあい、あるいは自ら命を捧げたのだという。 ところで本版には、英米での本書出版以降、20年以上にわたって多くの国々で翻訳・出版されてきた経緯と、その社会的意味について著者自信が考察した、「旅と交通」という新たな章が追加されている。本書がナショナリズム研究における教科書的な位置を占めていることを教えられた。個人的には『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』が本書の解説書としてわかりやすかった。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
マスメディアと代替的共同体の可能性,
By kaz (兵庫県姫路市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険2期4) (単行本)
アーネスト・ゲルナー、エリック・ホブズボウム、アンソニー・スミスなどと並び、現代ナショナリズム論を代表するベネディクト・アンダーソンによる、言わずと知れた名著。国民国家を「イメージとして心に描か描かれた想像の政治共同体」と再定義するアンダーソンによれば、そのシステムの構築を担ったものは近代における印刷技術の発展であり、出版資本主義の勃興である。前近代的な「宗教的・メシア的な時間」は、マスメディアの台頭により、特定の言語を共有する人々の間で流れる、「均質で空虚な時間」に置き換えられた。また出版物の広がりにより、人々は特定の言語の場の中にそうした時間を共有する同胞が存在することを認識し、国民国家という共同体は想像されうるのである。 現代において、この本が提供してくれる認識論的枠組み、すなわちマスメディアが政治的共同体を構築してきたという主張は示唆的だ。押し進めて言えば、国民国家とはマスメディアが造り出した虚構的な政治共同体であり、ある種脱構築可能であるという事であろう。アンダーソン自身、強固な我々という意識に支えられたそのシステムは、排除性、暴力性と切り離す事が出来ないと危惧しており、現代における我々は常にその代替可能性を模索すべきであろう。この名著の最大のインプリケーションは、紋切り型のフレームで国家論的な支配的言説を塗りなおすだけの日本のマスコミに対するアンチテーゼであると主張するのは果たして言い過ぎであろうか。
17 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
無名戦士の墓,
By 山内昇 (東京都新宿区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険2期4) (単行本)
本書、冒頭の「無名戦士の墓と碑、これほど近代文化としてのナショナリズムを見事に表象するものはない。」(P32)という記述は全く同感いたしました。パリのエトワール凱旋門で見た無名戦士の墓と碑に、私は何となく疑問を抱いていましたが、この一文で納得しました。私の兄は1945年3月に沖縄のアメリカ戦艦に自爆した特攻隊飛行士でしたが、遺骨箱にはたった一枚の紙切れに死者の名と死亡年月日とが書かれてあるのみの空箱でした。「無名戦士の墓と碑」は、国家の欺瞞性を暴く明晰な論考です。
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