民主党政権の失速ぶりが明らかになるにつれ、民主党政権批判の本が散見されるようになってきた。
本書は、表題だけ見るとこういった類の本の一つと誤解されるかもしれないが、浅薄な民主党批判とは全くレベルが違う。筆者は前作「日本国の正体」で山本七平賞を受賞した異能のジャーナリストだが、本書において、鳩山内閣で起きている表層的事象の裏側を深くえぐる切れ味は、前作と比べ、ますます磨きがかかった印象だ。
たとえば、昨年末頃から世間では、「鳩山内閣は、脱官僚といっていたが、実際には財務省依存だ」といった指摘がなされるようになった。本書では、まさにその頃、現実には、官邸と財務省とに亀裂が入っていたこと、そして、体調が原因とされた藤井財務大臣の辞任などもこれに起因した事象であったことなどを指摘する。
どこの新聞にも報じられていた「事実」を、筆者独自の取材と分析で料理しなおし、全く異なる「真相」を見せてくれるのは、手品のようであり、推理小説のような趣さえある。
本書の中でも言及されているが、筆者は、小沢報道に関し、新聞記者が検察のリークを報道していることが「結果的に当局の情報操作に手を貸す結果になっている」ことを、異例にも新聞紙上で指摘し話題を呼んだそうだ。
本来、メディアの役割とは、官僚からもらった情報を垂れ流すことでなく、まさにこの本のように、真相を分析することのはずだ。
その意味で、新聞やテレビの代わりに、本来のメディアの役割を果たしている本と言ってよいだろう。