財務省を石もて追われた、高橋洋一氏による、官僚の本質をズバリと突いた快著である。論旨明快で非常に読みやすく、広く一般の人にも読んでほしい書である。
残念なことだが、今回の大震災で、東電幹部や官僚といった日本の典型的エリートが、非常時に如何に無能であるかが、誰の目にも明らかとなった。
高橋氏は、公務員試験の出題委員をした経験があり、どのような人間を官僚として選別していくのかを分かりやすく説明している。
官僚は、決して、難問を解く能力を求められてはいない。試験では、難問が高い得点配分とはなっていないので、難問を見分け、それを後回しにするテクニックがいる。
さらに、試験官は、出題範囲となる教科書名を、事前に雑誌社にリークする。それによって、素直に、その本を勉強していたかが試験で問われるのだ。
これによってどういう傾向を持った人間が選抜されるか。「問題先送り」と、「前例踏襲」だ。
もちろん、官僚の中に天才がいる事は承知だが、世の中は天才ばかりとはいかず、また次官レースで、必ずしも天才が勝ってきたわけでもない。
予算権を持っている財務省は最強の官僚と言われるが、内務省解体後は、国家公務員の人事権も掌握している。さらには警察力まである。実質配下にある国税庁、税関がそれであり、かっては拳銃の携帯も認められていた。
年末の予算編成で忙しそうに働く姿が、毎年報道されるが、実は予算作成は9月で終わっている。財務省は存外に暇なのだという。今は改善されたが、大蔵省時代は、贈収や、下半身の世話のみならず、仕事までもMOF担に丸投げであった。
今また、震災後復興を錦の御旗にして、増税を狙う財務省。氏は、日本の官僚には、政治的な中立性のみで、政治的即応性がないという。その是正には官僚を使いこなすだけでなく、過去官僚の政治家を使い、議員立法を増やせと述べている。
できれば、官僚の自浄能力に期待したいところだ。戦後以来、いまほど、新たな形での政治が求められている時はない。