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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アメリカの高級紙の報道が優れてるというのは事実である,
By MU - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪 (単行本(ソフトカバー))
金融機関でアナリストとして20年ほど勤務している間、日経の企業の業績報道予想記事に違和感を覚えていた。その情報の正確性と詳細さから、明らかに企業内部に取材したインサイダー情報であるにも関わらず、取材先の明示がなかったからである。インサイダー規制は?風説の流布にはあたらないか?などと思っていたが、本書を読んで、日本の新聞社の出所不明記事の取り扱いのいい加減さに起因すると知って、驚くとともに納得した(しかし問題は未解決)。本書の主張はアメリカの新聞報道のほうが日本より優れているという単純な図式に見えるが、事実である限り受け入れるほかないであろう。本書で触れているウイキリークスの日米での扱いの違いや、西山事件、三井環事件、また立花隆の「田中角栄研究」がなぜ新聞社からでなかったかを考えてみれば明白である。 記者クラブの問題点については、ほうぼうで指摘されており、新味はない。一方、特ダネを連発しても、日本では新聞協会賞、アメリカでは取引対象企業と癒着しているのではないかと懸念を持たれるという指摘は面白かった。 筆者は英語の出版物を引用する場合は、日本語訳ではなく、全て原書にあたっている。さらにキーマンにはできるだけ実際に会って話を聞いている。誠実な姿勢に非常に好感が持てた(日本には二次資料や翻訳された資料で本を書く人が多すぎる)。 難点を言えば、本書には繰り返し・重複が多い。筆者は原稿完成後、全体を何度も通し読みして、本全体の完成度を高める努力をしていないのではないか。450頁を超える大書だが、100頁ほどは削れるように思われる。またそうすることで、全体にさらにリズム感が出て、読みやすくなるだろう。 自分の出身母体(日経)を批判するのは簡単なことではない(筆者に経団連から実際に圧力がかかった話など固唾を飲む)。ましてやテレビ局と一体となってマスコミを牛耳っている新聞社の場合にはなおさらである。今後のマスコミの本書の扱いに注目している。 本書の評価をする際に、読者がどの程度実際にアメリカの新聞報道に親しんでいるか、また本書でも触れられていたハルバースタムをはじめとしたニュージャーナリズムの作品をどれほど読み込んでいるかで、本書の評価は変わるだろう(読み込んでいる読者ほうが本書の評価は高くなると思う)。私自身は、類書をあまり見たことがなく、新しい知見を提供してくれる本書を高く評価している。 なお、本の腰巻にあった「今すぐ新聞をやめなければあなたの財産と家族が危ない!」という過激なキャッチはいかがなものか。編集者は本書の読者の知的レベルをどの程度と思っているのか疑問である。
19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
なぜ新聞が読まれなくなったのか、新聞に気がついて欲しい,
By YI - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪 (単行本(ソフトカバー))
最近新聞を読まないビジネスマンは多いと思いますが、なぜ新聞がおもしろくないのか、本書を読んで改めて納得。 同時に新聞社の怠慢が私たちの社会に甚大な影響を及ぼしているのを実感しました。本書は、日本語という障壁に守られ、「ガラパゴス化している」という日本の大新聞の内側を書いたもの。 記者が権力・企業からのリーク依存の報道や、いずれ発表になるニュースの先取り報道に血道をあげるあまり、本来の仕事――権力が秘密にしている情報を掘り起こす、独自の分析記事を書くなど――がおざなりになっている様子を描いています。 私は現在某外資系通信社で、国際商品の流れを追っていますが、実はここ数年日本経済新聞はほとんど読んでいません。見出しだけは見ますが。 地球が小さくなり、弊社でもアジア主体の報道に注力しているため、全体からみると日本経済の存在が小さくなったのも一因です。日経は地方紙みたいな感じ。 もっと大きな理由は、紙面が前日の出来事を発表そのまま書いてあるだけなので、読むところがないことです。特に、個人的に絶望感を感じるのは、政治関連の記事です。政治部の記者にとっては、政治家間の人間関係が最大の関心事のようです。肝心の政策検証はお手軽で、素人でも考え付くようなその場しのぎの議論で紙面が埋まっています。腹が立つので、こういうのも読みません。 仕事柄、BBCやNew York Timesのニュースをポッドキャストで聞いていますが、アジアのニュースを発信している、このような信頼できる英語の報道機関がないんですね。 福島原発事故後、政府が放射能物質の拡散予測データを隠していた件では、日本国民は一つ賢くなったのではないでしょうか ――政府・官僚は信用してはいけない。 著者は大新聞がその気になれば、政府発表前に「データ入手も不可能な仕事ではなかったはず」と指摘しています。
20 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
記者クラブ批判本。よくまとまっているが、新味はない,
By
レビュー対象商品: 官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪 (単行本(ソフトカバー))
記者クラブに代表される日本の新聞社の腐敗を指摘したメディア本。前半は主に記者クラブ批判に、後半は米国のメディアのあり方と 現状に割かれている。 著者の前著『不思議の国のM&A』の冷静で論理的な筆致に好感を 持ち購入したが、やや期待を裏切られた。特に前半の上杉隆流の 記者クラブ批判は、それ自体は的を射ているかもしれないが、すでに 言い尽くされており、既視感がある。 この手の批判では、「権力を監視する米国のすばらしいジャーナリズム と、権力側からのリーク情報に依存する日本のマスコミ」という図式 ばかりが強調されるが、本当に欧米のメディアがそこまですばらしい のだろうか。 昨年のオリンパスの粉飾報道では、米『ニューヨーク・タイムズ』が 「49億ドルが社外に流出し、うち半分程度が反社会的勢力に流れた」と 荒唐無稽な報道をネット配信したが、その後の12月の第三者委員会の 調査報告では反社の関与は否定されている。この記事には根拠も示されず、 また本書での著者の主張と異なり、情報の出元も示されていなかった。 大規模リコール問題でトヨタを痛烈に批判していた米メディアを絶賛 している点も、すでに米・運輸省が「欠陥はなかった」と報告を出した ことを考えれば、違和感が残る。 まえがきに出てきたサミットのエピソードとまったく同じ話が148頁 前後に出てくるなど、重複する箇所もちらほら。値段相応の価値はある と思うが、全460頁はすこし長すぎる。
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