著者は経済産業省の元キャリア官僚であり、安倍晋三、福田康夫両内閣で公務員制度改革を進めた渡辺喜美行政改革相の補佐官だった。渡辺行革相の退任後は国家公務員制度改革推進本部事務局の企画官も務めた。その後、退官し、民間の政策コンサルタント会社を自ら立ち上げ、現在も与野党国会議員らの政策企画立案をサポートしている。
別の評者が紹介しているように「開成高校始まって以来の秀才」とされ、米シカゴ大学ロースクールを修了し、米国の法曹資格も持っている。
そうした経歴をもつ筆者が官僚の改革骨抜き作業はどうやって実行されるのか、手の内を赤裸々にあきらかにしている。本書はとくに法案作成過程や法案作成をめぐって官僚が展開する論理を紹介し、それがいかに屁理屈に満ちているかを論証している。いわば、改革バトルの現場を知り尽くした「プロ中のプロ」が「霞が関修辞学」のおかしさを赤裸々に解説してくれた本なのだ。
たとえば、公務員の中立公正という概念である。もともと政治家を含めて公の仕事に従事する人は中立公正であるべし、という当たり前の話にすぎない。ところが、官僚の手にかかると、あたかも政治家は私利私欲に凝り固まっていて「官僚だけが中立公正に仕事をしている」という宣伝材料に使われてしまう。そこから「汚れた政治家たちから中立公正な官僚を守らなければならない」というロジックが展開され、最終的に「だから人事院が必要であり、官と民は本質的に違う」という話になる。
官僚の論理を理解しないと、改革をいくら叫んでも、どこに落とし穴が潜んでいるかは分からない。「真の政治主導とはなにか」を考えるうえで必読の書である。