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28 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
実在の深みを探る思索,
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レビュー対象商品: 宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2) (文庫)
この本は、もともと自然神学をテーマに開設された連続講演の講義録だったらしい。聴衆に語りかける語り口が親しみやすく、引用が多いわりには平易で明快な論述になっている。全体に、知識人の宗教否定的な論調に対して、宗教経験が持つリアリティを擁護する議論になっているが、そこには、人間の経験する世界の多様性を積極的に認めていこうとするジェイムズらしい主張がこめられている。 講義の全編を貫く主題は、リアリティとは何かという問いだといえるだろう。様々なタイプの人間が、それぞれの仕方で、これこそ自分にとってリアルな存在だと感じるものがある。それが別の立場の人間からは否定されたり軽視されたりするものであっても、等しく人間の生を基礎づける根本的なヴィジョンであるかぎり、その意義と価値を認めていこうというのが、ジェイムズの基本姿勢のようだ。わたしたちを取り巻くリアリティは、ある特定の立場からその全容を解明されるようなものではなく、どこまでも奥深く、多様な側面をもったものなのだ。ジェイムズが語る宗教経験の諸相は、多様な仕方で現われるリアリティのどこまでも深い深みを、多角的に照らし出してくれる。これは、宗教的寛容や、宗教多元論など、現代社会が直面する課題にとっても、とても有益な、ほとんど唯一の方向性を示した見解ではないだろうか。
23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
宗教心理学の先駆けとなる名著,
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レビュー対象商品: 宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2) (文庫)
内容を掻い摘んで言うとこんなかんじかな:・哲学の主張する客観的捉え方での存在観を認めつつも、それはあくまで個々人の宗教観に理論付けをするという二義的なもので、各々の個人が生きる経験的で自己中心的な世界観こそ世界における唯一の場である。 ・すべての宗教が合流する一点にあるのは、「不安感」と「その解決」である。 ・個人が抱える不安感はより「高いもの」の存在を意識し、それに触れることで救われる。これがすべての宗教が内包する核である。 ・「高いもの」との合一の感覚が神秘主義の目指すところであるが、この高いものに含まれ、高いものが自己自身と感ずることで自己実現が果たされる。 ・この「高いもの」の存在は心理学が認める「潜在意識」として捉えることができる。潜在意識と意識は不離分の関係にありつつも、潜在意識はより広域で永続的であり意識を支配する。このことは、高次のものとの合一を求める宗教的な行動が客観的にも真であることをみとめさせることができる。 ・この意味で、宗教的な経験がより健全に人が在ることの要因になる。 ってなところです。 ジェイムズも言っているが、宗教の核はその「高次のものとの合一感覚」だったとしても、その方便が世界に何百とある各宗教であり宗教哲学であるんだから、そのなかで現代世界の必要とする「宗教の核への接ぎ木」を作るのが宗教学の課題ではと思う。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
精神病理の諸相は宗教的に克服され得るか?,
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レビュー対象商品: 宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2) (文庫)
1901〜2年、英国での招聘講演録全20講中前半10講を収録。停年前の体調不良を押して、数年の準備期間を経て行われた講義は、 第一講 宗教と神経学 第二講 首題の範囲 第三講 見えない者の存在 第四・五講 健全な心の宗教 第六・七講 病める魂 第八講 分裂した自己とその統合の過程 第九講 回心 第十講 回心−結び 第十一・十二・十三講 聖徳 第十四・十五講 聖徳の価値 第十六・十七講 神秘主義 第十八講 哲学 第十九講 その他の特徴 第二十講 結論 という議題からも判るように後半になるに従って、肯定的な面がより多く展開される。従って、宗教的経験の負の側面を考えたい場合には前半の上巻に当たらねばならない。 〈意識に直接作用する人格的存在〉について実は良くない負の側面があって、しかしながら、〈意識に直接作用する人格的存在〉がその実よく解明もされていない以上それをどうすることもできないのだという実情は百年前から変わっていない。後半により肯定的側面が語られるのは、それを痛いほど判っていた心理学者のジェイムズが構想として故意にそういう編集にしたということに他ならない。彼はこの一連の講演の中で克服されざる精神異常を宗教的経験により克服する道を模索しているとも言える。彼は決して「悪の事実こそ、人生の意義を解く最善の鍵・・・もっとも深い真理に向かって私たちの眼を開いてくれる唯一の開眼者」であることを確認することを忘れているわけではなかった。
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