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本書では、識者4人が自らの宗教観、現代社会で宗教が担うべき役割、宗教を知る方法などについて語る。きわめて読みやすく、わかりやすいことばで記されており、また、随所に挿入されるコラムが基本知識を補ってくれる。日ごろ理由もなく宗教を敬遠してきた人や、漠然とした興味はあっても、とくに詳しい情報を持たない人も抵抗なく読めるだろう。といって、単なる入門書と片づけるのは惜しい。それほど全編が深い示唆に満ちている。
大半の日本人は、自分と宗教とのかかわりを差し迫って考えてはいない。だが、すでにそれではすまない時にさしかかっている、との指摘には誰も反論できないはずだ。地球規模で情報化が進むなか、日本人としてのアイデンティティーを保つためにも、この国の宗教性を再確認する必要がある。
日本人の宗教性、と言われてとまどう向きも多いだろう。この国には宗教がない、という主張がなかば常識のようにささやかれているからだ。だが、そうではなく、宗教のあり方が違うのだと本書はいう。「もったいない」や「いただきます」といったことばの背後には、もともと神や仏に対する意識があり、信仰と生活が渾然となって区別がつかないため、宗教がないように見えてしまうのだ。翻って、世界では宗教をめぐる争いが激しさを増す一方である。むしろ、日本のように唯一絶対の価値を求めない宗教観こそ、これから重要とされるものではないか、ともしている。
21世紀は調和の世紀になるといわれている。たしかに、日本的な感覚が受け入れられる素地は十分あるだろう。だが、世界に対してメッセージを発しようとするなら、まずは自らに対し意識的であることが前提となる。そのためにも、日本人ひとりひとりが宗教を自分の問題として捉える気持ちが必要なのだ。(大滝浩太郎)
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