2007年版以来、毎年発行されている同シリーズだが、内容はまさに百花繚乱、読みどころ満載の充実ぶり。「この陣容と、このテーマで、こう来たか」と毎回うならされる。
むろん宗教全般が対象なので、「広く浅く」の感は否めないし、新宗教を含む他宗教の動向に関心がなければ、読み飛ばすページも少なくないだろう。
しかし、今回の特集「宗教と映像メディア」で、「多面的である宗教と、単純化を内なるダイナミズムとする映像メディア」の相性の悪さを指摘した森達也氏(映像作家)、「宮崎アニメの宗教性」を読み解いた正木晃氏(宗教学者)、裁判員制度への宗教界の対応を俯瞰的に分析した磯村健太郎氏(朝日新聞記者)といった多彩な顔ぶれとそのボリューム感は、ほかでは決して見られない。
さらにありがたいことに、巻末には話題の用語、新刊、映画、データ、発言集、国内外のニュースなど、この1年を回顧できる貴重な資料もついている。まさに“宗教と現代”をつなぐ年鑑的な役割も担う。
『SPA!』(扶桑社)や『週刊アスキー』(アスキー)の創刊編集長を務めた渡邊直樹氏の腕によるところが大きいと思われるが、本来はわれわれキリスト教出版業界がやるべき仕事だ。好評を博した『pen』(阪急コミュニケーションズ)や『考える人』(新潮社)の特集に似た脅威すらも覚える。
私たちには、教会の外側へ語りかけるための「翻訳力」や「発信力」とともに、教会内の豊饒な資材を有効に活かすための「編集力」と「企画力」が求められている。