さて、水滸伝も70回本・100回本・120回本といろいろあるのでございますが、この岩波文庫はそのうち100回本の訳本です。この本の最も特徴的なところは2つ、1つめは地文が「~です・ます」「~でございます」調で書かれていること。ちょうどこのレビューのような調子であります。もともとが「喋って聴かせる」タイプの物語であった水滸伝を、講釈師の語りの雰囲気そのままに伝えようという粋な試みでありますが、なにぶん、どんなに切羽詰った深刻なシーンでも地文がこの調子ですので、拍子抜けされる方もいらっしゃるかもしれません。2つめは、人物の登場時や戦闘シーンなどに、その様子を伝える「詩」が随所随所に入っていること。この「詩」も全部合わせるとかなりのボリュームで、このように文庫10巻にまで量が膨れ上がっており、話の流れもブツブツ途切れるというので最近は「詩」を省く訳本も多く出ておりますが・・・いろいろとクセの強い訳本ではありますが、このへんは読む人の好き好きでございましょう。さて、あなたのお気に召しますことやら。