わりと短い話が多い巻だけど、この物語は後のほうがより短い話になりがちのようだし、シャハラザードが一夜ごとに話す長さも、最初の頃に比べれば短くなっている。
「青銅の町の綺談」は渡辺一夫訳。独特の幻想的・蠱惑的な雰囲気が良く出ている。
「地下の姫、ヤムリカ女王の物語」宝石とか水とか植物とかの描写が(後で出てくるアラジンなんかもいいんだが)さすがに洗練されている。
「智慧の花園と粋の庭」はショート・ショートが21話収録されているもので、気楽に読める小咄集である。
「『蕾の薔薇』と『世の歓び』の物語」は恋愛と人探しと、詩が絡んでいる。詩が相当量を占めていて、ある意味詩のためにあるような物語とも言えるが、第12巻に、さらに詩を前面に押し出したものがあって、そっちのほうが例としては当を得ているかもしれない。
詩は原文で読んだほうがいいと言われるが、アラビア語原典が日本で果たして入手できるか。出来たとしても読むのは一苦労以上だろう。マルドリュス仏訳なら入手できるかもしれないが。