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1,2巻は小話集の趣でしたが、この巻は長編が占めています。
キリスト教国の王女がさらわれて、オマル王のハレムに入ったことから、この王女の奪い合いが3代に渡って繰り広げられます。
この戦争のトリックスターというべき老女は、醜く、狡猾で、世間を知らぬ高貴の者たちを次々手玉にとって、敵見方を縦横に行き来します。
戦場の描写など、簡潔な文でありながら、耳元に槍がかすめる音が聞こえそうな臨場感。
その一方死を前にした描写は、表紙抜けするほどあっさり。
主人公でさえ「王の魂はその体を離れた」という一文で片付けられてしまいます。
相変わらず「この世に二つとないほどの美形」があちこちに登場しますが、男性は月、女性は薔薇にたとえられるのがお約束。
一対の美男美女を「どちらがどちらとも見分けがつかないほどよく似ている」と表現しているところを見ると、男性美・女性美という観念はあまりなかったのかしら、とも思います。
貢物の果物や香辛料のバラエティの豊富なことは、貿易の拠点であったイスラムの豊かさを彷彿とさせます。
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