本書は、『三国志演義』の翻訳であるが、他の方が記されているように2つの底本を使って翻訳されている。小川氏も『二本の折衷云々・・。』とあとがきで記している。現在多数の翻訳が出版され、訳文もそれぞれ訳者が腕を揮った渾身の作も出ているが、この岩波文庫の訳は独特であり、戦いの臨場感は他書を凌駕している。四巻は第四十六回から六十回までを収録する。
『七星壇に 諸葛 風を祭り、三江口に 周瑜 火を縦つ。』赤壁の戦いが述べられる。諸葛孔明が登場し、これまでの血腥い三国志の流れが大きく変わる。孔明が東南の風を呼び、呉軍の大将の周瑜が曹操の軍船を火攻めにし大勝利を修める。『諸葛亮 智もて華容を算り、関雲長 義によって曹操を釈つ。』曹操は関羽に命拾いをする。孔明の才能を恐れ、周瑜も孔明を窮地に落とそうと謀るが、孔明はその都度難なく危機から逃れる。