かの名作『オズの魔法使い』に続編があるらしいとは知っていましたが、読んだのはこれが初めて。未邦訳作品も含めて全15巻が今後つぎつぎ刊行されるそうですが、本作はその第二巻。
なぜか悪い魔女に育てられているチップという少年が、カボチャ男をこさえて魔女を驚かせようとしたところ、魔女はカボチャ男を魔法の薬の実験台にして命を吹き込み、一方チップは懲らしめとして石像に変えてしまおうとします。冗談じゃないとばかりチップは、作り主である自分のことを「お父さん」と呼ぶカボチャ頭と家出することに。二人はかのかかしが治めるエメラルドの都を目指して進む途中で、ノコギリ馬と呼ばれる木の作業台に魔女から失敬した薬で命を吹き込んで馬の代わりにします(この馬の物言いがエラそうで可笑しい)。ところがかかしはチップたちの目の前で、ジンジャーというガーリーな傲慢さふんぷんの女の子率いる女の子ばかりの反乱軍に王座を奪われ、友のブリキのきこりを頼ることに。かくしてお馴染みのかかしとブリキのきこりのペアに、生身の男の子チップ、腐ることを心配するいつも笑顔のカボチャ頭、横柄なノコギリ馬、それに拡大された虫のハカセまでが加わり、王座を奪回しようとすったもんだを繰り広げます。なにしろ、ソファをふたつくっつけてヤシの葉を翼に、それに枝角のある動物の頭をくっつけたシロモノが鳥みたいに空を飛んで一行を空輸するというぶっ飛びよう。登場人物それぞれの性格が面白く描きわけられていて、それを表す言葉遣いの訳し分けが巧み。みんなほっこりとズレていて、危機を危機と感じさせない反応の仕方のちぐはぐさが読者の心を和ませてくれます。とにかくこの作者の想像力の突拍子もないことときたら! 驚くほど毒のない(かといって少しも退屈でもなければお説教臭もない)、親子で心底楽しめる物語です。最後の仕掛けもお見事! 訳文も品があってふくよかで、この名作の雰囲気をよく伝えています。今後の刊行が楽しみです。