<モザイク>3巻(「みちづれ」「ふなうた」「わくらば」)59篇に,未刊行の3篇を加えた全62篇を,発表順に並び替えたものです。短篇小説の名手による,定評ある短篇群であることは,今さらいうまでもありませんが,1つの事柄を短く,かつ散文的に表現するということの醍醐味を味わえます。各小説に描かれた「人」の心の動きと行動は,三浦哲郎がみている人間像で,それらが<モザイク>のように並べられて,三浦哲郎がみている世界(世間,人間社会)になっているのだと感じられました。ただ,短篇集を読むとなると,自然,多くの「人」とお付き合いしなければならなくなるので,集中的に読むには,よほど体力が必要だなと感じましたが,これはきわめて私的な感想です。