本書と
完本 清原和博 (文春文庫)と、両方共に興味を惹かれ、先に本書を読んだ。
巨人との密約説が疑われ、清原との友情を割いたドラフトの謎が解けるかと思って読んだが、結局霧に包まれたまま終わった。
本書は「Sports Graphic Number PLUS完全復刻版 桑田真澄」を原本とし、再編集した文庫オリジナル版。
「Number」の1985年の掲載記事〜桑田真澄の野球人生の軌跡と各時代の記事と桑田へのインタビュー
PL学園時代の恩師と同級生達が語る桑田像
F・ジョーブ博士の寄稿
取材者の記録として、ライターが振り返る桑田真澄と記事の回想
桑田語録を取り上げた14の名言
桑田年表
などの構成でなりたっている。
一番知りたかった、ドラフト後の空白の4日間の桑田の心の経緯と謎が解けない事が残念な箇所。あれだけクレバーな桑田が「本当に密約はなかった」のならば、なぜ清原を説得、納得させることができなかったのか?という疑問が残る、と当時取材したライターが書いている。
ドラフト前に、中学時代からその非凡な才能をめぐって、各高校から「早大進学を条件」に引っ張られ、大人の事情に巻き込まれ、もまれていたから「あのドラフトでも精神的に耐えられた」という、桑田の言葉が強い印象を残した。
中学の校長から「おまえに友情はないのか」となじられ、中学3年の3学期での転校も初めて知った部分。
高校時代から年齢に似合わず、落ち着いた物腰で老成しているように見えたのは、こういった多くの経験をしてきたからなのだと納得できた。
桑田の巨人の18番を背負った美意識、古武術への傾倒など、野球人桑田としてだけではなく、桑田真澄という男が形成された経緯を知るには良い本だと思う。
桑田は自分自身を建設中の「家」にたとえて話している箇所があり、その部分も彼の人格や理想をよく表現しているかもしれない。
また、江川、清原のような肉体があったら、と彼が持ち合わせることができなかったものへの思いも初めて知ったので、興味深かった。
桑田の母が語った早大の受験票の件は、非常に桑田らしさがよくにじみ出ている話。
ドラフトの謎は謎のままでいた方が美しいのかもしれない。それも桑田の美学なのか?
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