講談社漫画文庫で全3巻の「水木しげる伝」は、是非お読みになるべき本かと思います。
「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などで水木さんの代表作は、どなたもご存知なのではないかと思います。
奥様がお書きになった「ゲゲゲの女房」は、NHKの朝ドラにもなりましたし。
水木さんの絵の展示会も各地で催されています。
その水木さんの一生は波乱万丈なんですが、どこかユーモラスです。
お国が戦争にまっしぐらに進んでいるときもマイペース。
しかし軍隊は水木さんにとっても本当に厳しい時代だったと思います。この中巻は、主に軍隊時代と終戦後帰国してから漫画家になるまでが描かれています。
多くの方が南方戦線の悲劇を語ってこられましたが、これを喜劇にしたのは、さすが水木先生です。
喜劇といっても、そこには、戦争というものの本質が滲み出ています。
後世代のものにとって最も大切だと思える戦争の欺瞞が伝えられています。
それは、戦争を起こす者は戦地には行かない。戦争で実際に戦う兵士は、ビンタによって戦場に行かされ、突撃しなければ後ろから撃たれる。玉砕という報告をした後で生き残った兵士は犯罪者にされてしまう。戦争の現場では、戦争に勝つために戦うのではなく、生きるために戦っている。戦場では敵と見方の区別がつかなくなってしまう。・・・といったことです。
読んでいるうちに、今でも日本の会社で、こういうことは良く起きているな、というものが見つかりました。
水木さんは、南方で現地の人たちとすっかり仲良しになります。
どんな場面でも飄々とユーモラスに生きておられる水木サンのお姿に感動いたしました。
「ボクの一生はゲゲゲの楽園だ」を文庫化したものですので、お間違いのないように。