この本の著者が、不真面目なのか本気なのかと問われれば、
本気で不真面目なことをやる、挑発的なお笑い芸人のスタンスといえよう。
文中にギャグを散りばめるスタイルを嫌う人には、激怒必至の本である。
最後には本書のおかげで教団運営に成功した読者の御礼の手紙までついてるし。
ここまでやれば、だれでもジョークだとわかるはずだろう。
内容についても、教祖を目指すのは「甘い汁を吸うため」と言い切り、教祖のことばは「あなたの世迷いごと」と喝破し、イスラム教徒とおばさんたちの違いを、「ムハンマドの預言に従うか、みのもんたの御託宣に従うかの違いでしかない」と説明し、悟りを「脳みその錯覚現象」といって麻薬と比較し、教団が理解されず迫害されるのは「民衆は豚だからしかたない」と揶揄し……。
このへんにしておこう。どことなく筒井康隆を連想する。
文体への賛否はともかく、宗教社会学の入門書としては、目配りは完璧じゃないだろうか。
しかし、教団が信者を集める布教活動と、広告業者が消費者を惹きつけるマーケティングを、意図的に同一視している。ヒトラーの「わが闘争」の「どのようなプロパガンダも大衆にあわさねばならず、その知的水準は獲得すべき大衆の最低水準の人々が受け入れられるようにあわさねばならない」という、あのいやらしい一節が引用されていることでも明らかであろう。
「人びとをハッピーにするんですから、教祖って素敵な仕事でしょ」は、筆者のシニカルな結論に思えたが、書いているうちにけっこう筆者は独裁者が好きなんだと思えてきた。
奇著も名著のうち。