このCDで初めて耳にしたのだが、安部幸明は喩えるならば日本のカバレフスキー。悪く言えば軽薄で脳天気で深みが無いが、良く言えば軽快で平明でワクワクする。同時代の伊福部や早坂に比べると語調は明らかに西洋的なものだが、しかしアカデミックな堅苦しさは全く感じさせず、疾走感のあるリズムに乗せてのびのびとした音を展開させている。3曲の内前2曲は世界初録音だそうで、ヤブロンスキー指揮、ロシア・フィルハーモニー管弦楽団の演奏だが、ロシアの曲だと言われても何故かそんなに違和感が無い。何れも戦後の作だが、前衛っぽいところがカケラも無いのがそのスジには堪らない。
『交響曲1番』(全3楽章、1957)は酔っ払いが大運動会を開いている感じで、無茶苦茶だ、何だこいつ、と思っていると「だけど面白いだろ?」とニヤリと返される様。ぐるぐる回ってその内何処かへ脱線しちうまうぞと思っている内にどんどん先へ引っ張られて行くジェットコースター的な面白さがある。
『アルトサキソフォーンとオーケストラのための嬉遊曲』(全3楽章、1951)はタイトルからして想像が付くかも知れないが、モダンで都会的で明るく色彩豊かな曲。吹奏楽用に編曲してコンサートのレパートリーに加えると面白いかも。
『シンフォニエッタ』(全4楽章、1964)は、これが日本的と言えば一番日本的。うっかり落ち着きの無い機関車に乗ってしまった感じで、舞曲の様に元気ハツラツ!に流麗に踊りまくる。