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この本で斎藤氏は、イラク人質事件に見られた大人気ない「自己責任論」の蔓延過程を手始めに、爆発的に増大する露骨な差別的な掲示板の書き込みや差別的投書、そして「SUICA」や携帯電話などの最新電子機器が市民の生活を囲い込んでいる過程を詳しく吟味して、新自由主義や社会ダーウィニズムによって経済が不安定化し、社会内の貧富の差が広がり固定化していくことにより「市民による連帯」が崩壊していく中で、強者に太刀打ちできない弱者が強者が提供するサーヴィスに順応していくことで心の葛藤を打ち消そうとしたり、より弱い弱者を排除抹殺することによって社会の不安感を除去したいというメンタリティーこそが監視カメラ社会や、ファシズムを生み出す原因であると言う分析をしています。
さらに自由について喧々諤々と論ずる(主に)若手社会学者たちの動きも、見かけは中立を装っているけれども、よく読んでみると監視される側の視点ではなく監視する側の視点に限りなく近づいているのではないか、ということにも危惧の念を抱いているようです。
この本は新書であるという制約から、なぜどうして人間がかくも容易に屈服していくのか?という問題のわずかな例を扱っているに過ぎませんが、本格的にファシズムについて研究したい人にとっては入り口の議論としてお勧めできる本であると考えます
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