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安全保障という逆説
 
 

安全保障という逆説 [単行本]

土佐 弘之
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人道主義の名のもとに、安全保障が人を脅かす。湾岸戦争から9・11、イラク攻撃、そしてグローバルな内戦状況へ―「国家の安全保障」に代えて提唱された「人間の安全保障」にひそむ陥穽とは。批判的世界システム論の視点から、ポストモダン状況における「安全」の意味を根源的に問い直し、新たな国際的公共性の創出を提起する。

内容(「MARC」データベースより)

「国家の安全保障」に代えて提唱された「人間の安全保障」にひそむ陥穽とは。批判的世界システム論の視点から、ポストモダン状況における「安全」の意味を根源的に問い直し、新たな国際的公共性の創出を提起する。

登録情報

  • 単行本: 365ページ
  • 出版社: 青土社 (2003/09)
  • ISBN-10: 4791760646
  • ISBN-13: 978-4791760640
  • 発売日: 2003/09
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By θ トップ1000レビュアー
形式:単行本
本書で展開されるのは、いわゆる構築主義系統の国際関係論であり、要するに国際政治に対する認識のフレームから変えにかかろうとする議論である。

筆者は、従来的な主権国家を構成単位とする国際社会・安全保障体制の制度的思考を批判する。
現実主義は、そのように「現実」を捉えているが、実際には主権国家を基軸とする状況は次第に融解してきている。
端的に言えばそんな感じの議論である。

けれど、そういう話はコスモポリタンなどにより昔から繰り返されている「国家主体の現実主義」批判とさして変わらない。
だからわざわざ「言語論的転回」だの「脱構築」だのを持ち出してやたら難しく論ずる必要はないように思う。

個別の議論、例えば湾岸戦争における「アメリカ=善、イラク=悪」という構図はメディアが作ったもので普遍的でない云々の話とかは、構築主義とかそういうのを持ち出さずともただ「湾岸戦争がアメリカ=善であるとは限らない。例えば〜という事例がある」とか言えばいいのであって、要するに普通の国際政治の議論である。
個々の指摘では、平和活動が実は自分たちの平和な状態を維持し、難民を紛争国に閉じ込めておく意味がある、などという鋭い意見もあるのだから、変に難しい言い回しで埋没させてしまうのはよろしくないと思う。

あと、筆者がしきりに現実主義者などを「バックラッシュ」と罵倒するのだが、あれはあまり頂けない。
これはレッテル貼りだから云々というのもあるが、「バックラッシュ」という発想自体、自分たちの主張が「最新でいいもの」であり、それに対し反対者は「古くて時代遅れの(間違った)もの」を主張している、という構図にのっとっている。
結局、「最新=現実」を認識の枠として自ら措定して、その反対者を「最新=現実ならざるもの」として叩くという構図は何も変わっていないように思う。
結局自分を他より先駆けた・高みに出た存在とみなし、自分のフレームに入ってしまうあたり、まさに自分の批判が自分自身に当てはまってしまい自己論駁的だし、だからいつまでたっても構築主義は「言葉遊びに終始する」との批判を受けてしまうのではないだろうか。
このレビューは参考になりましたか?
29 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By css
形式:単行本
数年前に著名な日本の国際政治学者が「ポストモダンは意味がない」とう趣旨の論文を掲載したが、この本はそれが空虚な議論であることを証明している。著者は方法論的には、批判的社会構成主義、世界システム、批判的政治経済学の融合的な立場にいると述べている。一読してみるとVirilio、Der Derian、Campbell等のポストモダンが目立つ。”駒場”出身(認識論的には実証主義が多数)にもかかわらず、理論的な立場が(セルフ・マージナライズしたかように)ポストモダンにある点は、著者の関心が世界政治の”周辺”領域にあるところに通じるているように思われる。全体的には、1雑誌論文を編纂したものである2その理論的な立場が(著者は批判的安全保障研究の範疇に入ると述べている。)融合というよりはツギハギ的に思われるという点から、私にはバランスがとれていないように感じた。しかし、各章の議論は明らかに日本の国際政治/国際関係論、及び安全保障研究に「異なる対抗的視点」(著者の言葉)を提供している。洋書の背表紙によくあるコメントを用いると「この本は日本の国際政治/国際関係論、及び安全保障研究の生徒・研究者に必須である」
このレビューは参考になりましたか?
28 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
白眉 2005/9/26
By daepodong VINE™ メンバー
形式:単行本
 日本語で書かれた国際関係論の本の中で間違いなく最良のものだ(断言)。乱暴だが著者の主張をひとことで要約すると(土佐先生ゴメンナサイ)「現実は追認されることで現実となる」というものだ。これを、「力なき国連に力を与えてゆく」(藤原帰一)「現状ではアメリカ追随はやむなし」(田中明彦・北岡伸一)という発言と比べて欲しい。例を挙げると、アメリカの国連決議無視・イラク出兵という悪しき先例を「仕方がない」「力あるものが世界を制す」などと積極的・消極的に容認してゆくことで、それが正当化されてゆく、ということだ。別の例を挙げれば、核廃絶のためには「核を持つことが大国の条件」「望ましくないが現状ではやむを得ない」と考える人間より、「核は人間の生存に望ましくない」「核を持たないことこそ国家が尊敬される条件」と考える人間が、政府・民間を問わず大多数を占めるようになって、はじめて核廃絶が可能になる、とする思想だ。
 本書一冊を読破するだけで、関連書籍を50-100冊読んだくらいの知識は身に付くため、それだけの知的体力が要求されることは事実だ。本書に取り組む前に、最低限、「国際紛争」(J.ナイ)「国際関係論」(進藤栄一)のいずれかと、「社会的構築主義への招待」(V.バー)「社会構成主義の理論と実践」(K.ガーゲン)のいずれかは、最低限読んでおきたい。
 ひとりでも多くの方に薦めたい本である。
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