本書では、最新のコンピューターシミュレーションの結果を用いて、何億光年にもわたる広がりを持つ宇宙の大規模構造から、銀河団やそれを構成する銀河、恒星といった天体に至るまでのものが、誕生してから137億年にわたって常に進化をし続けてきた宇宙の中でどのように形成されてきたのかについての解説がされています。さらには現在の姿になるまでの宇宙の137億年の歴史のみならず、あくまでも近傍宇宙(我々の住む銀河系からおよそ半径3億光年の領域)に限ってですが100億年後から1000億年後の未来においてどのような変化が起きるのかについてシミュレーションされており、宇宙の過去から未来に至る進化についても知る事の出来る内容となっています。なお本書は宇宙形成に関わる宇宙論や宇宙物理学にはつきものの難しい方程式といったものは極力抑えられており、図や写真等を多用して解説がされていますので、宇宙に興味を持っている方であれば読んで理解を深める事の出来る内容になっています。個人的には本書で用いられている図や写真は全てモノクロであったので、カラーもあればよかったかなと思う所もありますが。
タイトルにもある宇宙の歴史と進化をコンピューター(によるシミュレーション)で探るという事よりも、現在我々に知られている宇宙の構造や歴史というものは天体観測という様々な望遠鏡や検出器を用いて出した観測結果による情報のみならず、コンピューターシミュレーションを通してある理論モデルの整合性を確かめていく事によって、宇宙の大規模構造を含め現在まで明らかになっている宇宙の全体像というものが明らかになっていったプロセスの解説もされており、秀麗な天体写真に代表される表の宇宙の姿の奥にある実の姿を解明する上でコンピューターシミュレーションが有効な手段であると同時に重要な役割を果たしてきたのかが認識させられました。
さらには日進月歩で進歩していくコンピューター技術の力は、宇宙の大規模構造や天体形成を再現する事を可能としたにとどまらず、今後の技術的発展では兆単位でのシミュレーションも実現可能になると本書では述べられていますが、つまるところはまだまだ私達の住む宇宙というものにはまだまだ未知の領域が多々存在しそういったものがこれからも段々解明されていく事になると考えられます。