本書は東京大学理学部物理学科の4年生の演習における輪講で原書の初版が用いられた事がきっかけとして翻訳出版されたものです。
構成としては、宇宙における銀河や恒星、惑星の形成の過程や地球上における生命の誕生と進化のプロセス、地球外生命の探査、さらには人類の未来における文明のあり方や、地球外知的生命・文明に関する事まで幅広く取り上げられ、なおかつ難解な方程式等は用いずに写真やイラスト、図表を多用した解説がされておりタイトル通り宇宙生物学について知る上では最適の書籍です。
個人的にも地球外知的生命・文明に対しては興味があり、カール・セーガン博士が書かれた書籍等を読んでいますが、宇宙における生命を研究するという事には生命が誕生する起源まで遡っていく事でもあり、その過程を辿っていく上では宇宙は勿論、銀河や星の起源、惑星形成に関わる理論といった天文学的なものから地球上で生命が誕生するために必要な条件といった地質学的なものや、当然生物の誕生や進化といった生物学や生命科学といった自然科学分野をトータルでカバーする意義がある事を本書を読んで強く再認識しました。また人類が将来、宇宙に生活圏を拡大していくようになれば工学系の分野の事も必要になっていくだけに、宇宙における知的生命・文明を探査する事は人類が築き上げた科学の総力を使うと同時にこれからも発展させていく必要性があるという事も感じられました。
この分野に関してはまだその存在を確かめる上での手がかりというものを掴む所までには至ってはおりませんが、単純にいる・いないといった問題ではなく、人類の将来の発展や進化、また宇宙においていかなる存在であるかといった大きな課題に関わる事でもあるように見受けられます。
宇宙やSFに対して興味をお持ちの方にはお薦めしたい書籍です。