登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
『首都消失』へのオマージュとして。,
By
レビュー対象商品: 宇宙消失 (創元SF文庫) (文庫)
人間の居住する空間(全体、またはその一部)が得体の知れない何かに覆われる、という発想は、古くは小松左京『首都消失』がある(原題の“Quarantine”が『宇宙消失』と邦訳されているあたり、小松作品に対する翻訳者のオマージュだろう)が、類似点はそこまで。量子論――シュレディンガーの例の猫――と、気が遠くなるほど巨大な〈バブル〉の謎を、密室からの脱出というミステリーに挑むナノテクで武装した主人公によって接続するアクロバティックな作品。主人公の佇まいがフィリップ・K・ディック的実存に陥っていったりして一筋縄ではいかない。と、何かと多様なアイデアを詰め込んだ作品ではあるが、どうもすっきりした読後感を得られないのも事実。「拡散」と「収縮」と「観測」の関係が曖昧なのがその理由だろうか。むしろかつて存在した「ゲームブック」(懐!)的手法を突き詰めた方がより面白みが増したのでないだろうか? ともあれとても現実的ではない(と、個人的にはある確信を持って考える)多世界解釈が物語の鍵を握る秀作ではあると思う。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
戻らなかった女と、百二十億の世界を自分と等価に置く男,
By
レビュー対象商品: 宇宙消失 (創元SF文庫) (文庫)
本作の主人公ニックは百二十億の世界と自分とを等価に置きます。それが彼の結論だった。そして自分が選ばなかった世界からの復讐をものの見事にすり抜けます。 今自分を自分だと意識している自分とは何か。それを問わなくなったとき、彼にはやっと平和が訪れます。 その結果として妻だったカレン(とそのモッド)を失おうとも、彼は世界に背を向けて「何もない日常」を選んでしまう。 この結末はどうなのか、と私は他の百二十億の世界のニックのひとりひとりに尋ねたくなりました。 それでいいの? あなたたちは、と。 ここまで圧倒的な世界観を持ち、華麗な舞台を用意されても、「結局自分は誰にもわかってもらえない」「もうわからせるために説明する気もない」「自分に他人は必要ない」と、思ってしまうのがひどく現代的な造形の主人公。 彼が本当に必要だったのは今は亡きカレンその人ではなく「カレンがいた日常」であり、それが決定的に失われた後の世界は彼にはもう不要のものだったのかもしれません。 作中で幾度か言及される「自分が選び取った世界『以外』の百二十億の世界」と自分とをニックは等価に置いて、残された人生を孤独に歩んでいくのでしょう。 これは大変な問題作です。作中のアクロバティックな論理の飛躍や、確固たる物理現象を元に推測される現実に対する深い考察の見事さとは別に、人は何によって自分を人と規定するのかを、正面から取り上げようと試みて、結局はそれに答えがないことを証明してみせた作品だと思うからです。 本作を難解だと思う人がいるのは、おそらくニックへの感情移入の難しさに起因するのだと思われます。彼は確かにヒーローです、本作を読む私たちのような考え方をしない、という点においては超人的なヒーローです。 彼はなぜカレンを本気で求めなかったのか……。 現代社会につきものの、倦怠と疲労を更に大いなるそれでもって粉みじんにしてしまう……これは確かに傑作です。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
サスペンスとしても最高です,
By sky1 "スカイ1" (京都市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 宇宙消失 (創元SF文庫) (文庫)
最後まで入り組んだ謎解きを楽しめます。シュレデンガーの猫の話はしばらくすると「宇宙はエーテルで満たされている」と同じようなフレーズになるかもしれませんが、この作品の最後は「うわーっ!そうだったのか!!」と感服しました。読みながら電車を乗り過ごした数少ない小説のひとつになりました。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|