読みながら、子どもの頃に読んだ、宇宙に関する解説書とか図鑑とかを思い出しました。小さい頃から宇宙に興味があった私にとって、聞いた事のある話しが続いて行くのですが、語り口が気楽でなんかいい感じです。一般の人たちに、宇宙開発に興味を持ってもらおう、という意図がしっかり貫かれいます。
内容は宇宙開発の基本知識を親しみやすく描いた前半と、著者のアイディアを展開した後半にわかれています。後半の「月や火星は重力が強すぎる、小惑星こそが理想的な宇宙開発環境」という主張は新鮮で、もっと注目されてもいいのでは、と思いました。低重力の環境ならば、小惑星一つをくり抜いて中に住める、資源も100%利用できる。このアイディアを基に、ビジネスモデルが展開して行ければ、「宇宙暮らし」もあながち絵空事ではないのかも。
自動車産業も電子産業もパッとしないなか、宇宙開発に日本の未来をかける、という選択肢があり得ないか、と妄想していた自分にとって、この本は一つのビジョンを示してくれるものでした。このビジョンを実現させるためには、小惑星についてもっと調べる必要があるはずです。世界の最先端を走る「はやぶさ」の技術を日本の未来に結びつける。それが、この国を覆う閉塞感を打ち破るきっかけになるのでは。そんなことを考えてちょっといい気分になりました。
あとがきで著者が「夢を見ないから、夢が実現しない」という訴えは胸に迫るものがあります。宇宙に行きたい、地球を飛び出したい、という思いをみんなにわかってもらいたい、という気持ちが伝わってきました。それだけに、もう少し万人向けにするためには、ビジネス、というか金儲けに振った話しも少しあると良かったかもしれませんね。最近思うのは、結局世の中金だ、ということ。宇宙開発は金になる、ということが明らかになれば、人々は間違いなく宇宙開発に殺到する。ただ、それが明らかになった時には手遅れな訳で、それだけにビジョンが大切、ということなんでしょう。