大阪・心斎橋で本作を観てきました。
本来、まだ手にしていない商品についてレビューするのは私のポリシーに反するのですが、限定的な公開しかされていない本作ですので、今回だけはフライングします。それは、本商品の購入を迷っている方には、是非ともオススメしたいからです。
そして実際に商品を購入した時に、改めて追記したいと思います。
まず、かなりのネタバレをします。商品の視聴まで情報を遮断したい方は、このレビューの閲覧は中断して下さい。
大半の方は、劇場公開オリジナル版を視聴済みで、このディレクターズカット版(以下DC版)の情報も取得しているのではないかと思っているので、大丈夫だと思うのですが。
一般的にDC版は、監督が完成させた作品を劇場公開時にプロデューサーがカットしたシーンを、映像ソフト発売や再公開の際に復元したものです。しかし本作では、監督の西崎義展氏は同時にプロデューサーでもあり、ややこしくなってきます。自分でカットしたシーンを、自分で復元するのですから……。
そしてこの作品が特異なのは、一度世に出た作品に対するファンの意見を大きく汲み取って実現している事。
さらに、残念な事ではありますが、完成以前に西崎監督自身が他界してしまっていると云う事実。
これらの要素が、このDC版が稀有な作品として存在たらしめているのです。
それにしても、「監督代行」と云う肩書きの小林誠氏。どうせならパート1の古代クンに倣って、「監督代理」の方が楽しかったのに。
ラストの変更は、一本の映画として観れば、劇場公開オリジナル版の方がクライマックスも盛り上がってまとまりも良いと思います。「交響曲ヤマト」の画面とのシンクロは素晴らしかったですし、真田さんの「こんな事もあろうかと」もあったし。しかし三部作の第一部とすれば、ラストはあっさりとしていますが、DC版の方がふさわしくなります。ヤマト一作目の劇場版のスターシャ生存編と死亡編、「さらば」と「ヤマト2」のようなパラレルワールドが今回も発生してしまった状態です。続編が完成すれば、おそらくこのDC版が正史となるのでしょう。
他にも追加シーンがありますが、それ以外の既存のシーンでもかなり修正があります。さらに追加カット、カット順の入れ替え、フレーム単位での削除もあります。全てを列挙すれば、膨大な量になります。
クレジットタイトルにも変更があります。
総じて工芸品に例えるならば、既に完成した作品にさらに仕上げ処理を加えた感じでしょうか。
そして、音です。おそらく皆さん周知の事でしょうが、効果音が旧ヤマトシリーズのオリジナルのものとなっています。しかし、新規登場の敵関連の効果音まで以前のものにしなくても良かったのではないかと思えました。
また、私は劇場公開オリジナル版を何度も観返していた為、DC版の音に最初は逆に違和感を覚えてしまった事です。もっとも、ものの数分でそんな違和感は払拭されてしまいましたが。
さらに、音楽。かなり変更されています。劇場公開オリジナル版で不評だった点はかなり向上しています。クラシック曲の使用量は減り、特に後半のアマール星やSUS超巨大要塞戦では、旧作音楽や眠っていた過去の未使用音楽らしき曲が彩っており、全く違った印象に仕上がっています。DC版のサントラCDが欲しいです。
そして、ヤマト発進シーン──。
私的に最も重要なのは、ラストが変わった事で、真帆が生存している事です(まぁヤマトの事ですから、ひょっとしたら生きていたのかも知れませんが、普通は死んでますよね)。大村副艦長は若者たちに地球の未来を託して散華したのだから、その若者が命を散らしてはいけません。
ヤマトシリーズはこれまでの経緯から、ファンとアンチが大きく二分されています。この商品のレビュー欄も既に丁々発止がくりひろげられているようです。
私は、ヤマトが大好きです。「復活篇」も大好きです。ですので単純にこの商品をオススメします。私のように既に劇場公開オリジナル版を何度も観ている人には、音や編集等の全てが違和感になってしまうかも知れません。
しかしバージョン違いとして、どちらも愛したいと思っています。「さらば」も好きですし、「ヤマト2」も好きですし。どちらかを否定する事はしたくないです。
また、今のアニメ界にはヤマトのような作品がありませんので、続いて行って欲しくも思います。日本コロムビアさんもやっとこさ旧ヤマトCDの再プレスをするようですし、「ヤマト2199」と併せて盛り上がって欲しいなと願っています。
そして、復活篇の第二部と第三部が実現しますように──。
2012.03.23.追記
ディスクの仕様については、今回は字幕がなかったのが、少し残念でした。
チャプターは劇場公開オリジナル版とほぼ同じ設定で、ポップアップメニューも見易くて良いです。
ただ、劇場でも感じたのですが、サラウンド感はかなり弱くなっています。リアスピーカーから独立した音が出てくる事はほとんどなく、フロントスピーカーの補助的なものでしかありません。ですので、ホームシアターシステムでの立体音響にこだわる方には、物足りなく感じられるでしょう。
特典映像のSPECIAL対談は約40分で、DC版での変更点などが本編映像と併せて解説されています。なかなか面白い内容でしたが、それならば全編に渡ってオーディオコメンタリーをしてくれた方が内容は充実したと思えましたので、それも残念でした。
また、「宇宙戦艦ヤマト2199」のPVが、高画質・高音質で観られたのが予想外に嬉しかったです。
あとは、アウターケースのデザインは非常に良かったですが、ケース本体は安っぽい印象でした。
ライナーノートも、ボリューム不足ではありましたが、内容自体は興味深いものでした。
総合的に、私自身は劇場公開オリジナル版に続いてのDC版BD購入ですが、損をしたとは思っていません。むしろ、満足な買い物をしたと感じています。