私は「統計」の仕事で金を貰っていた時期もあります。著者が「あとがき」でも述べているように、日本では統計の教育は皆無に近く、皆サラリーマンになってから自前でやっているのが現状です。と言うことは、本当の統計専門家が優しく内容を解説してくれる本があると大変助かるわけです。しかし現状はナンタラでラクラク統計とか、高尚な統計学書の翻訳というような両極端が溢れていて、この本のように医療統計の計画・結果の基本の基本をじっくりと対話形式で述べたような本はありません。
もちろん中身は本物です。寝転びながら最先端結果を楽しむというようなアタマの良い方々には、雰囲気的には合わないかもしれません。しかし例えば、はじめに出てくる、サイエンスでいうところの「率」と「割合」の違いをきっちり説明出来る人は、この本を手に取る人の中でどれほどの「割合」でしょうか。知識人の方々も一つ知識が増えること請け合いです。また、医療統計とか疫学に興味をもつ中学生、高校生をまともなスタートラインに導くのに最適でしょう。
私の知る日本の医療統計学者の中で著者は文句なく最も頭の良い数人の中の一人です。数年前に東京の研究会で聴いた、「先生」と「恵子さん≒しまりす」が共同で行なった掛け合い漫才的、かつ要点をついた講演を思い出しながら、ちゃんと机に向かって読ませていただきました。