この本は10年以上前に単行本で読んだのですが、
今でも良書中の良書だと思っています。
読む者の認識の座標軸をシフトさせる可能性を孕んでいます。
兎角、この手紙の真贋が興味の対象になりがちですが、
完全なフィクション、つまりSFとして読んでも、
極めて良質な作品であり、スリリング且つ多くの示唆に富んでいます。
SF部門があれば、ノーベルSF賞受賞必至でしょう(笑)。
誤解しないで欲しいのですが、この手紙が捏造だと言っているのではありません。
捏造であろうがなかろうが、そんなことは問題にならないくらいに
内容が素晴らしいと言いたいのです。
特に「人間の脳が物理法則に従いながらも自由意志を保持する可能性」
を示唆している箇所は衝撃的でした。人間に自由意志がある可能性は
唯物論的な科学思考では否定せざるをえないと思っていたからです。
この手の本は我田引水的な飛躍した論理展開に陥りやすく、
ウンザリさせられる事も多いのですが、
この本の著者の本職は欧州有数の研究機関の科学者であり、
その科学者としての客観的な視点を常に失っていません。
人々の好奇心だけに訴えてくる、興味本位本とは一線を画しています。
難解で理解が難しい箇所もありますが、人間存在の本質、
科学の可能性について真面目に考えている方には、強くお薦めします。
視界が一気にひらける可能性を秘めている本です。
タイトルに「宇宙人」と入ってるからきっとトンデモ本だと誤解して
読む機会を放棄してしまうにはあまりに勿体ない本です。
人間存在の奇妙さと科学の可能性を堪能できる稀有な良書です!