宇宙エレベーター建造に当たっての問題点に始まり,建造できたとして,それに上ってみるとどんな体験ができるのか,宇宙エレベーターツアーという形で話が進んでいく。話が進むといっても物語ではない。エレベーターの建造,運用にあたって,必要になる物理の問題を解いていくのだ。
問題を解くにあたっては,基本的な考え方と,方程式の変形・計算過程を丁寧に解説している。微積分の基本的な知識があれば理解できるはずなので,理工系の学生ならばそれほど悩まずに読めるはずだ。
私は化学系の技術者なのだが,学生時代は物理があまり好きではなかった。教え方のうまい先生に恵まれなかったということもあるのだが,使途不明の方程式をただ暗記させられる授業が嫌いだった。その方程式が,この本には具体的な使用方法と共に多数掲載されている。
学生時代にはいやいや覚えさせられた方程式が持つ意味を,今更ながら理解できた。1度読み終わって,すぐさまもう1度通して読み返した。実に楽しかった。学生時代にこんなに楽しく勉強できれば,物理も嫌いにならなかったかも知れない。理工系の学生には,副読本としてぜひ読んで欲しい。