たとえば、宇宙の「果て」や「始まり」の疑問について。著者はまず『旧約聖書』の世界創生神話やカントの宇宙論などの「思弁の学問」に触れつつ、その疑問が時間と空間の問題に行きつくことを指摘。アインシュタインの一番の成果は、その時間と空間、つまり宇宙そのものを初めて物理学の対象として扱ったことだ、と説明する。宇宙そのものがわかれば「果て」もわかるはずだと言う。
さらに著者は「アインシュタインにも解けない問題が一つありました」と続ける。アインシュタインの相対論によって宇宙のモデルは示せたが、その「始まり」は謎のままである。そこで「無」から「有」を生む「トンネル効果」の解説をはじめている。
量子論、相対論はもちろん、統一理論、ビッグバン理論、インフレーション理論、ホーキングの理論など、諸理論の位置づけや成果が興味深い展開のなかで説き明かされている。とくに、宇宙には「子宇宙」や「孫宇宙」が無数に存在するという理論は驚嘆に値する。「観測時代」に入った宇宙論の動向も論じられるなど、宇宙論・宇宙研究の歴史と現在をつかむのに最適の入門書だ。(棚上 勉)
宇宙論といえば、多くの人は常に、宇宙はどのようにして誕生したのか、宇宙は今も膨張を続けているといわれるが、いったいどこまで膨張し続けるのか、といったごくごく素朴な疑問を抱いているのではないだろうか。
本書では、量子論と相対論という現代物理学の二大理論によって、宇宙創生の理論から、さらには親宇宙から子宇宙、孫宇宙、曾孫宇宙と、際限なく生まれ続ける宇宙の謎や、トンネル効果、地球外生命体の存在の可能性まで、宇宙の最新パラダイムを、子どもから大人、天文学ファンも興味つきない話題について、斯界の第一人者が平易に解説した、宇宙論入門の入門書である。
季節は秋から冬に向かう夜空の澄んだ季節。本書を読んで夜空の彼方に夢を馳せてみるのも楽しくないだろうか。
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最も参考になったカスタマーレビュー
23 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
わかりやすいが、他の著作を先に読んだ読んだほうがいいです,
By しみたま "shimitama" (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった (PHP文庫) (文庫)
ほかの宇宙がわれわれの150億年前にできた宇宙とは別にあるという、今までの宇宙論とは全く違った話であり、非常に面白い本である。しかし、量子論や相対性理論の話が概略のみ記載されており、このあたりの知識がないと、非常に分かりにくいと感じるかもしれない。そのためには、佐藤先生の他の著作である量子論と相対性理論の本を読んでから、この本を読むといいと思う。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
宇宙の謎,
By
レビュー対象商品: 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった (PHP文庫) (文庫)
宇宙の誕生や どうやって膨張を続けているるのか?量子論と相対論という現代物理学の二大理論によって、宇宙創生の理論から、さらには親宇宙から子宇宙、孫宇宙といつまでも続く宇宙の構造。トンネル効果、地球外生命存在の可能性まで、ちょっと話が進んで、佐藤氏の宇宙物理学の楽しさを教えてもらった。
15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
興味のある人にはおすすめ!,
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レビュー対象商品: 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった (PHP文庫) (文庫)
この本はずばり「宇宙物理学史」入門書です。興味がある人にとっては頼もしい教科書になるでしょう。 ただひとつ気になるのは、この本の著者佐藤勝彦さんの「最新宇宙論と天文学を楽しむ本」と内容が若干かぶっているということです。 その一点を除けば、世界の様々な物理学者の難解な理論が手に取るように分かるこの本は「読まずにはいられない」ものであるといえます。
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