バイバインで分裂しつづけるくりまんじゅうをドラえもんは宇宙に葬ったが、そのようないい加減な顛末にツッコミを入れた本、ではなかった!とんでも本にも全然ツッコミを入れていない。内容を全く気にせずにタイトルだけを見て買ったが、良い意味で予想を裏切られた。
書の大半は、と学会会長で知られる著者が過去に依頼された『あとがき』を収載したものとなっている。通常あとがきには、もとの本の書評などが記されており、その本の内容を知っていないと面白くないものとなるが、氏の場合は、行の多くをSF哲学やそれに対する想いに割いており、結果的にきちんとしたエッセイ集ができあがっている。もちろん、もと本を知っていないと理解しづらい部分や、マニアでないとさっぱりわからない部分もあるが、氏の思想の根源がよく理解できたように思う。くりまんじゅうの話(えええ〜っ?本のタイトルなのにたった6ページ?)にしても、ドラえもんの単行本に載っている注釈をそのまま収載している。
本書でとくに良かった点は、ケイロン人社会と囚人のジレンマについての項。最も合理的な人間関係は何か、という問いに明確に答えている。SFから学ぶ哲学もある、という氏の言葉通りの内容であった(詳細は買って読まれたし)。また、他の項では、氏がふだん攻撃の的にしている予言や前世思想に対する思いもよく伝わったし、それらを胸に歩んできた人生も披露している。氏の持ち味であるツッコミを期待している方、本書では本にたいしてはほとんどしていません(笑いを期待していたので少しさみしい)が、日常生活で妻に(無言で)しているようで、独特のツッコミはしっかり記載されております。
あと、個本のカバーとそれをはずした表紙のデザイン(宇宙のくりまんじゅう)はストーリー性があるというか、話の連続性を感じさせるので個人的には気に入っている。
他のと学会関連本とは異なった印象の本で、いろいろな意味で勉強になった。SFマニアには星5つで勧められるが、一般人には理解しづらい点もあることと、やや値段が高めかな、と思うので星4つの評価。