巨大な星が爆発した後に残るパルサー(回転する中性子星)はブラックホールと
同様に、今日の高エネルギー天体物理学で最も興味深い天体である。
物理学的には磁石が高速で回転しているだけのシンプルなシステムなのだが、
想像を絶する~10兆ガウスの磁場が、研究者の度肝を抜く不思議な現象を
引き起こす。
本書ではこれらパルサーからの電磁放射機構、粒子加速機構、パルサー風星雲の
形成に至るまで、今日のパルサー研究の主たる題材ほぼ全てを網羅しており、
この種の天体への理解がどの様に成されたのかが非常に分かりやすく
まとめられている。
本書で紹介されている天体物理は、現時点において学術論文を通してしか
触れられない最新のものであり、今まさに国内外の学会で議論されている
ホットな内容である。それらをほとんど式を使わず、定性的かつ感覚的に
解説しているところに本書の魅力と価値がある。
本書を理解するのに要求される知識は高校物理・数学で十二分であるが、
研究にも十分役立つ充実した内容である。Referenceもしっかりしており、
実際に数式が欲しければ論文をたどることも容易である。
私の知る限り、洋書・和書を含めて最も新しいパルサーの教科書(または参考書)
としてお勧めできる。