今、この地球という惑星に我々生命が存在できているのは、水が存在できる温度や空気中に含まれる酸素や窒素など非常に微妙なバランスの上に成り立っているからであるが、本書によれば、それだけではなく、今の宇宙を構成している原理自体が、我々が存在するのに都合よくできているように見えるという。たとえば、原子核を構成する陽子と中性子を結びつける力と陽子同士の反発力の微妙なバランス。今の銀河が誕生するためには、初期の宇宙の密度にわずかな不均一が生じていたという点。今の我々を構成する物質を生んだ超新星爆発という現象。
これらの「ありそうもない偶然」は人間が存在するために何か超自然的なものが作り出したものである、という「人間原理」としか考えられない問題に立ち向かって得られたものが著者のいう「ランドスケープ」である。
ひも理論自体は、およそのイメージでしか理解できないが、最新の理論物理学に触れて、その想像を絶するスケールの大きさに人間の思考の可能性を感じた。
また、暗黒物質と呼ばれる物質はなぜその存在を予想されるに至ったのか、宇宙定数という考え方はなぜでてきたのか。などの、最新の理論とその背景を知ることができた。
難しい数式を使わずに読みやすくできている、最新の理論物理学入門である。