普通のビジネス書籍とはずいぶん趣が違います。伊藤氏は、自身の成功の理由を「神の導き」と語っています。比喩で言うのではなく、宗教観や聖書中の言葉などを盛んに語っており、それを信じて歩めば、宇宙の摂理が自然と成功へと導いてくれるのだ、ということのようです。
相当に大胆な経営論と言うべきでしょうか。人によっては、精神論にすぎない、と思うかもしれません。が、私が本書を読んで思ったのは、そのような伊藤氏のある種の「解釈力」、世の中や人間や人生を解釈する力の豊かさこそが、「現実的に」、関西アーバン銀行の再生を可能にしたのに違いない、ということです。
いかに高邁な理想や、優れた戦略やビジネスモデルがあっても、それを信じて実行しなければ現実は動かない。それはもちろん信仰とは異なりますが、信仰に似ているものでもあります。「これは自分の使命なのだ」とか「お客様のために尽くすことが良い結果につながるのだ」と信じて突き進む、その決意や勇気の根底に、氏のそうした世界観や人生観といったものがあるのではないか、と感じました。
普段、論理による解釈に慣れきっている私たちに、別種の解釈力の存在と、その強さを示唆してくれる一冊です。