御神楽あやめ。
非常に頭が切れ、周囲と自分がよく見え、人の上に立つオーラと類い希な美貌まで持つ女性。
しかし、そんな彼女にも、人の「心」は視えない。
それは自分の心が見えていないから。
だから肝心なところで人を読み損ねて失敗する。
そんな彼女が、「階段」7巻のヒロインだ。
ドラマの主軸は、彼女と主人公神庭の、生徒会選挙を巡る一騎打ちの模様である。
まさに王道。
「生徒自治」は学校に必要か、否か?
「自治」に無関心な生徒に必要なのは、衆愚を生みかねない「自治」ではなく、効率の良い「管理」ではないのか?
何気に永遠の主題。
厚い人望と、具体的で正当性を持つ公約を掲げて選挙を戦う、帰国子女あやめに対し、
はた迷惑な階段部員の神庭が、「熱い」人望と、中身の定まらない理想を叩きつけて生徒に是非を問う。
盛り上げ方も王道の極み。
「ロッキー4」を想わせる、計算VS熱情のクロスファイト。
当初は拙く熱い理想をぶつける主人公が、クレバーで的確なあやめに翻弄されるが、
彼は次第に敵である彼女から多くを学び、仲間たちに助けられて、あやめに対を張れる実力と支持を集めてゆく。
ラストまで絵に描いたようなど直球だ。
選挙に敗れたあやめに神庭は「君の力が必要だ、副会長になってくれ!」
と口説き落とし、ついでに彼女の心まで落とす、というお決まりな顛末。
しかし、物語の熱さが、無数のつっこみを封殺し、ドラマに読者をのめり込ませる。
私は、夥しいラノベの中で、このシリーズが一番好きである。
なぜならこの作者には、荒唐無稽なストーリーを奏でる者に最も必要な熱い真情と、
何より私と同じく筋肉への深い愛が心にあるからである。
最後にもう一度言おう。
「筋肉をバカにするなっ!!」