特に新しい知見があるわけでも、論理が構築されたわけでもない。永年、現場で教育に携わってきた著者の教育への思いを一冊のハードカバーに書籍化したもの。
教育への熱い思いは分かった。昔、素晴らしい先達がいたことも分かった。今、教育の現場が大きく変わってきていることも分かった。そして、筆者が教育への熱い思いを持っていることも分かった。現場の教師に確固とした教育観が欠けていることも分かった。
「でも、眼前の現実にどうしたらよいのか?」
教育の現場はそれを求めているのだ。理想は大事、見通しも必要、信念も大切だ。それは十分に分かっている。
しかし、現実問題として、目の前の授業で子どもたちの暴力や学習妨害から子どもたちを守り、学習をどう確保するのか。それで精一杯の学級もあるのだ。
何の力も権限も与えられないまま、警察の少年係がすべき役割まで教師が担っているのだ。社会が要求する機能を、能力以上に無選別に受け容れ、学校を機能不全にし、社会的位置を低下させたのも、著者たちの世代の教育者だったのではないのか。
著者が学級担任だったら、今の大きな問題を抱えた児童・生徒や保護者にどう関わっていくか、著者が管理職だったら、どのような指示を出すのか、具体的に聞いてみたい。
理想を拝聴するのはそれからにしたい。口先だけの指導にはもううんざりだ。中学の生徒指導主任は真夜中の何時まで学校にいるのか知っているのだろうか。
もちろん、学校現場に「居酒屋タクシー」は存在しない。