飛鳥井さんのデビュー作「はるがいったら」が
なかなかの好著だったので、こちらも読みました。
前作はデパート勤務の女性が主人公ですが、
今作は高校のセンセイである男性が主人公。
まず主人公の口調が非常にいまどきの若い男の人っぽくって、
『あれ? 著者って実は男性だったっけ?』と
ちょっとびっくりしたのですが、
それが無理した男口調で書いてある感じがなく、
すごくリアリティがあって、
「こういう先生いるかもなぁ」と思い始めたら、
一気に世界に引き込まれてどんどん読めました。
ひとくくりに“教師”と言っても、
ベテランもいたり、まじめすぎて自分の首を絞めてる人もいたり、
幼稚な人もいたり、森田健作みたいに熱血になれない人もいたり。
主人公・桐原センセイは、その非熱血な部類に属し、
「面倒くさい」が口癖で、
夢や希望に燃えているわけでもなく、
教職という職に就いたという、クールなスタンスの持ち主ですが、
あるちょっとした生徒の問題をきっかけに、
彼の仕事への向き合い方が少ーしだけ変わるというお話です。
主人公をはじめ、恋愛熱心な女友達や、けなげな教師、コドモでオトナな生徒たちなど、
登場人物にちゃんと血肉の通った描写をする書き方に好感が持てました。
なかでも、ツィギーを彷彿とさせる風貌のご近所さんとのエピソードに、
安易でベタな恋愛に走らせない著者の巧みならざる構成力と筆力を感じました。
(一箇所だけ、フレッシュマンの集団をフレッシュマンズと形容している文章に
文法あってるのか? とツッコミ入れてしまいましたが、わざと?)
エンディングも納得のいく幕切れで、
ある生徒に本音で話す桐原センセイに、
『でら格好エエがね』(舞台は名古屋)と名古屋弁でエールを送ってしまいました。
まずは、今まさに「学校のセンセイ」をしている友達に
貸してあげて、この本の感想を聞きたいと思います。