派遣労働・官製ワーキングプアなど成人の貧困・格差拡大はクローズアップされてきたが、子どもの貧困についての書はそれらに比べると少なく、膾炙されているとはまだ言えない状況にある。
本書は生徒の経済事情を真っ先に知る学校事務職員と研究者による現場報告である。
日本の生活保護捕捉率は20%と他国に比して格段に低いが、就学援助についても全国共通の規定がない・不明確、制度を保護者に知らせていない、認定基準が不明確、申請し難い、負担額より給付額が低い等の問題点を挙げ、その改善策も提示する。
学校生活では、授業だけでなく給食も修学旅行も教育と見なされようが、一般的に後者は私立高校進学費用も含め自己責任的に切り離されて考えられいる事もある。
本書ではそれらを解説し、子どもを助けるとの視点からなされている地域の取り組みも紹介し、「どの子もお金の心配をしないで学校においで」と温かい。
最近やっと未払いであっても子どもへの健康保険発給はなされ、鳩山政権は、高校や各種学校への授業料無償化・援助を発表している。
これで奨学金マフィアと評されるそれの利用者も減少しようか。
国益を考えるのなら、1番に教育投資はなされねばならない。
将来経済発展は見込めず、中流国への下落は確定的であろうが、そうであってもなお教育の貧困さは打開されねばならない。
そうでなければ、能力でなく金銭的問題での中退者は多くなり、それらが更に低所得者層となるように
貧困は世代間でスパイラル化・拡大し続けるしかなく、状況は悪化するしかないのだから。