「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な一文に始まり、「『人の上に立つ人』の責任とはなにか」「法律の貴さを論じる」「人望は人間の大きさ・仕事の大きさに比例する」など、政治や法律の問題から個々人の意識に至るまで、あらゆる面に言及している。
本書がこれほどまでに長く人々に読まれ続けている理由は、その内容の普遍性にある。ここで述べられている内容の多くは、現在でもその輝きを失わず、読む者の胸に迫ってくるものである。たとえば十五編の「もし西洋と日本が逆だったら」の部分は、国際化時代に生きる現代の我々にも示唆を与えてくれるし、十四編の「人生の『損益』計算のしかた」は、いま生きているすべての人々が共通して意識すべき内容であると言える。
本書は現代語訳であるため、文語特有の趣を味わうには物足りない部分もある。だが、文語で読むのがおっくうでこれまで読まずにいた、という人にとっては、この貴重な書に触れる絶好のチャンスであると言えるだろう。文語体の趣を味わいたいという人には、岩波文庫の『学問のすゝめ』をおすすめしたい。(土井英司)
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実際,本書の内容は,新たな身分制度が与えられた明治の庶民に”勉強しなさ!”という強烈なメッセージなのですが,”なぜ勉強しなければいけないのか?”という読者の疑問を優しく解きほぐしてくれます.様々な説明は,基本的人権における平等性が普遍の真理として貫かれており,その切り口は秀逸です。
明治維新にかかれた本なのに,読み進むにつれて妙な親近感を覚えます。読み終わると,この本における“歴史的に卑屈な庶民”は,まさに“官僚支配下の平成庶民”であることに気づきます。本書の内容は,そのまま現代社会に投影する事ができ,国あるいは国民が何をなすべきかを示唆しているように思えます。学力低下,リストラ,腐敗した政府高官,テロリズムそして政府の私物化など,社会問題の根本原因に対する,福沢先生の卓越した見識を読み取ることができます。
この本では,国民と政府における基本ルールが示されており,福沢先生の国家論と捕らえるのが正しいのでしょう。皆さんも是非一読されて,国民と政府の関係を見つめなおして見ませんか。
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