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学力があぶない (岩波新書)
 
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学力があぶない (岩波新書) (新書)

大野 晋 (著), 上野 健爾 (著)
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 「勉強」という言葉には、「ガリ勉」「偏差値」「受験」「受験戦争」などが浮かぶ。この「勉強」につきまとう悪いイメージが日本における「学力低下問題」をここまで放置してしまったのだろうか。「知識偏重は悪だ。子供達を勉強から解放してあげよう」と時の政府が言い、登場したのが文部科学省の「2002年度実施新学習指導要領」。過去に比べるとカリキュラムが大幅に削減されているという法案である。

   緊急出版として世に問われた本書は、この「2002年度新学習指導要領」実施の危険性、学力低下の実情、いま教師や親がなしうることを平易な言葉で語ったものである。大野晋、上野健爾の共著となっているが、執筆量としては上野の方が多い。5章構成で、第1章「教育の原点をもとめて」は上野が理想とする教師像、音楽教師であった故東海正之の教育理念を遺族との対談で確認するもの、第2章「『学力低下』とは何か」では小中高大における実情を教育学者としての上野が分析。「だれもが、心の底では分かりたいと真剣に願っている」「能力を引き出すためには詰め込みも強制も必要である」「教師こそ勉強すべきである」という現場の教師に対するメッセージが並ぶ。また、「家庭の蔵書数と算数の得点」との相関関係を表す棒グラフは、小学生を持つ親は必見である。第3章「新学習指導要領と学力低下」では2002年度実施の新学習指導要領の問題点を克明に追求。第4章「教育現場からの声」は大野と現場を知る教育学者川嶋優との対談、第5章「これからの教育をどうするか」は大野、上野両名の対談である。歯に衣着せぬ大野の論調には賛同される方も多いだろう。(稲川さつき)



出版社/著者からの内容紹介

漢字の読めない社会人,暗算ができない大学生…若い世代の学力低下は目をおおうばかりと言われる.しかも新指導要領によれば基礎学習の時間はさらに削減されてしまう.個を引き出す教育,6.3.3制,入試制度,偏差値,総合学習,英語教育など多岐にわたる問題について,現場の声をまじえ国語学・数学の立場から鋭く切り込む緊急提言.

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5つ星のうち 3.0 対談中心の本, 2005/5/7
全五章から成り、そのうち1,4,5章は対談、2,3章は上野氏の単著になっている。対談も著者の二人の間の対談は5章だけであり、1章は上野氏と東海千浪氏との対談、4章は大野氏と川嶋優氏との対談になっている。

昨今の「ゆとり教育」や「学力低下」に対する意見を、率直に言い合っている形であるので、日本を代表する学者たちの考えを知るにはいい本だと思う。但し、論理的な論旨ではなく、対談の相手も章ごとに変わってしまうので、内容が深まらず、やや軽い感じがしてしまうかもしれない。

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24 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 脳天気な大学の先生たちには困ったものだ, 2001/3/1
 「緊急出版」という大げさなふれ込みと、タイトルにひかれて読んでみたのだが、なんというお手軽な本であろうか、というのが読後の印象である。

 学力低下に関する検証はごくごく少なく、著者たちの表面をなでただけの印象論を並べているだけで、あとは対談でお茶を濁す──その対談も非常に散漫で中身の薄いものである──というのではまともな本になりようがない。学力が低下するといったときに、学力の内容の検討とともに、その低下を統計的に実証するという作業が不可欠だろう。著者たちの危機感は感じられるものの、実に説得力のない本であった。大学の先生たちはかくも脳天気な議論を展開していられるのだから、困ったものだ。

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5 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 教育現場からの具体的提言, 2006/1/16
By モチヅキ (名古屋市) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 1919年生まれの国語学者と1945年生まれの数学者が、具体例を挙げながら日本の教育の現状とあるべき姿について論じた2001年刊行の新書本。第一章では上野のチェロの師の教授法を論じ、教師のあるべき姿として、忍耐強く個性(判断力)を引き出す教育、そのための教材研究の重視、テクニックより人間性重視、そのための「見極め」の重視、継続性・やり遂げることの重視、異質な諸個人の協働の重視等が挙げられる(学校では困難だが、という条件付で)。第二章では「学力(学んだ成果・学ぶ力)低下」の内容として、判断力(応用力)の欠如と意欲の低下、意味や基礎のない技術の自己目的化が挙げられ、その背景として「ゆとり教育」が実際にはゆとりや学力を奪った事実(学校の授業が駆け足になり、しかも減らされた分の元授業時間は塾通いやテレビ視聴に使われた)が指摘される。第三章では、教育基本法をなし崩しにし、学習指導要領により教育内容を画一的に統制した文部省が、「ゆとり教育」(1977〜)や「新しい学力観」(1989〜)といったスローガンのもと、人的にも資金的にも充分な援助がないままに、恣意的な政策を現場に押し付けたことの問題性が指摘される。第四章では、教え込みの部分と個の重視の部分との区分の必要、教師は子どもと同じ目線に立つことも時には必要だが、全体の把握のためにすっくと立つといい意味で権威がなければならないこと、その上での20人学級の実現、「個性」の次元を低く考えないこと、教師は子どもと同じ目標に向かう先行者と考えること、小中高大の教師による一貫した教育のための役割分担の必要、教師の能力向上のためのサポートや図書館整備の必要等が強調される。第五章では更に中高一貫教育の活用、地域(PTA、退職教師等)によるサポートの必要、グローバル化を視野に入れた基礎教育の重視等が主張される。学校という「場」の公的性格についての指摘も重要。
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