いまの時代、別になにも覚悟などしなくても、生きていけるシステムになっている。このシステムに逆らうことは許されないし、あまり逸脱しないに越したことはない、というのが「常識」になっている。
だが、著者は(この場合誰が著者かは微妙だが)、いつも常識を疑い、システムの存在を疑ってきた。その理由はこの本やほかの本などにも繰り返し登場する生い立ちなどを含めた世界から、理解していくことができる。
もっともよかったのは新宿時代の部分だ。ここでは著者はまさにあてもなく、自分とは違う世界かどうかもよくわからず、ただひたすらはまりこみ、それでいて十分すぎるほどの孤独を感じている。
いろいろな生き方がありそうで、いまの時代ほど実は窮屈なこともないのかもしれないけれども、そこを脱するための唯一の手段が「孤独」という武器なのかもしれない。孤独に耐える覚悟があれば、常識やシステムにとらわれずに、いまを生きることが可能になるかもしれない。
さて、それだけの覚悟ができるのか。本書はそこまで読者をあおったりはしないが、そうしたメッセージを強く受けた。