本書の構成はこうである。
第一章から第五章の約120ページはチェセンの登攀手記(ローツェ南壁は第五章の約20ページ)。「解説」としてヒマラヤ登山の歴史が約40ページ。そして、最後に「疑惑の系譜」として、チェセンの登攀の真偽をめぐる論争と過去に起きた疑惑の登攀の紹介で約50ページを費やしている。
登山経験のない私は、チェセンの手記を読んでも登攀の様子を頭に思い浮かべることができず、ピンとこなかったのだが、「疑惑の系譜」は非常に興味深く読むことができた。
チェセンの登攀の真偽が論争になったのは、帯に「世紀の快挙か希代のフィクションか?」という文があったので読む前からわかっていたのだが、他にも歴史的な登頂の中で真偽が問われた登攀が結構あるのは、そんなことを考えたこともなかったので、かなりビックリした。
じゃあ、疑惑は疑惑としてチェセンの手記自体はどうだったのかというと、どうなんだろう?自己顕示欲の強い人だということは推察できるのだが、登攀の様子もなんだかあっさり書かれている。初めて読んだのだが登攀手記というものはこういうものなのか。彼らは登山家であって文筆家ではないし…。それともこの手記だけがそうなのか。登山をする人が読んだら違うのかもしれないが、素人の私には良さがあまり感じられなかった。
それにしても登山家もウソをつくことがあるのか…。うーん、ちょっとがっかりしたな。